旨い店はタクシー運転手に訊け!『松月』で味わう圧倒的“メガ盛り”蕎麦

旨い店はタクシー運転手に訊け!『松月』で味わう圧倒的“メガ盛り“蕎麦
食楽web

一部でプロ級の舌を持つと噂のタクシー運転手・荒川治さんに教えてもらう「東京・B級グルメ案内」。今回は、荒川運転手ですら「大盛りに圧倒される」と満面の笑みを浮かべる蕎麦屋『松月』(東京・志村坂上)へ。さっそく道案内をお願いしましょう。

 蕎麦屋さんには、いろいろなタイプがあって、前回、ご案内した深夜営業の『そばひろ』のように、なごみ系の立ち食いそばもあれば、江戸蕎麦御三家「更科」「藪」「砂場」のように、キリッと香り高い日本蕎麦を楽しませてくれる老舗系など、使い道も幅広いものです。

 私も蕎麦が大好きでして、いろんなタイプのお蕎麦屋さんに行きます。今回ご紹介するのは、立ち食いそばでも老舗系でもなく、街のごく普通のお蕎麦屋『松月』さんです。場所は、板橋区の志村坂上駅のすぐそば。実はタクシーを使う必要がない便利な場所にあるんですよ。

都営三田線・志村坂上駅から徒歩1分
都営三田線・志村坂上駅から徒歩1分

“普通の街蕎麦屋さん”と言いましたが、このお店はまったく普通ではなくて、まず、11時に開店するとあっという間にお客さんでいっぱいになります。そして、どのお蕎麦のメニューも一般的なお蕎麦屋さんに比べて、お蕎麦の量が1.5倍~2倍くらいのあるんです。

 たとえば、「もり」は、普通の店の大盛りくらい、「大もり」になると、まるで富士山のような堂々たる山盛りなのです。きっと、その姿を見ただけでも拝みたくなりますよ。しかもお店で打っている自家製のお蕎麦なので、風味もよく、みずみずしくて新鮮!

「大もり」680円
「大もり」680円

 ところで、お客さんは、ざるそばを食べるとき、江戸っ子のように蕎麦の端っこだけにおつけ汁にちょっとつけて食べる派ですか? 私は、お蕎麦をいったんおつゆに浸してしまう“ドボン派”です。

 落語の中に江戸っ子が「最後に蕎麦を汁に浸して食べたかった」といってこと切れるシーンがありますが、私は、死ぬときに後悔することがないよう、お店の方が作った渾身のおつゆとお蕎麦にしっかり絡ませて食べたいんです。とくに、こちらのつけ汁は、お出汁の旨みが濃くて、甘辛く、山盛りのお蕎麦もあっという間になくなってしまいます。

こちらは「鴨南」950円
こちらは「鴨南」950円

 というわけで、こちらのおつゆは私の大好きな味なので、温かいお蕎麦の方もぜひおすすめしたいと思います。それは「たぬき」580円です。

 前回の『そばひろ』さんをご紹介したときにもお話ししたのですが、私は「たぬきそば」を食べるときは、必ず生卵を2個割入れてもらいます。これ、自分では「たぬきの目玉そば」と呼んでいるのですが、もちろん『松月』さんでも「たぬきの目玉そば」にしていただいています。

 こちらの場合は、蕎麦の量が多く、しかも蕎麦、おつゆの旨みもたっぷりなので、汁まで残さず飲み干して、昼からガッツリ元気が出ます。

「たぬき」580円に、荒川さんオリジナルの生卵50円を2つのせた「たぬきの目玉そば」680円なり
「たぬき」580円に、荒川さんオリジナルの生卵50円を2つのせた「たぬきの目玉そば」680円なり

 もう1つのオススメは、友人がよく注文する「カレー南」850円です。普通盛りでもけっこうな量ですが、大盛り(150円増し)は洗面器のような丼に入って出てきます。お蕎麦の量だけでなく鶏肉入りのカレー汁もすごい量で、とにかくめちゃくちゃアツアツ。もし「カレー南」を頼むときは、火傷しないように気を付けて下さいね。

「カレー南」850円、大盛りでプラス150円
「カレー南」850円、大盛りでプラス150円

 というわけで、『松月』さんは、「味、量・値段」を聞いただけで、そのコスパの良さに惹かれると思いますが、最後にお伝えしたいことがもう1点。

 私は、ランチの混雑時を避け、お客さんが途切れる頃合いを見て、午後2時~3時頃に行きます。その時間帯はちょうど、お店の方々の賄いの時間でもあります。その様子を見ていると、皆さん、お店のメニューを必ず食べているんです。

 私が「このお店はいいな」と思う指標の1つに「賄い」があるんです。お店の人が自分のところのメニューを賄いで食べている姿を見ると、嬉しくなります。それは、自分のところの商品を心底、美味しいと思っている証。だからこちらのお店は絶対間違いナシ! ぜひ、美味しいお蕎麦をたっぷりと味わってきてくださいね。

(構成◎土原亜子)

●SHOP INFO

そば処 松月

店名:そば処 松月

住:東京都板橋区小豆沢2-19-14
TEL:03-5392-1956
営:11:00~19:30
休:月

●プロフィール

荒川治

東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。