丼の中に、妥協は1つもない!

まず、スープです。若林さんによると、豚のゲンコツ、豚足、鶏の胴ガラ、鶏もみじ、さらに豚ひき肉と香味野菜を入れて炊き上げて「清湯スープ」をつくり、1日寝かすそうです。翌日、それを強火で濁らせながら、鰹節、鯖、煮干しなどを加えて魚介の香りや味をつけ、基本のスープがやっと出来上がるそうです。
この動物肉系と魚介系を合わせてスープを作るお店はたくさんありますが、バランスが非常に難しいと思うんです。ちょっとした塩気、甘みなどの強弱が出すぎて、個人の好き嫌いが出てしまう。僕は、甘みが強いタイプのスープは苦手なので、こちらの今のスープは、その塩梅がちょうど良くて、大好きなスープに仕上がっているんです。

そして、麺です。昨年から自家製麺に変わりました。毎日、お店で麺打ちしていて、添加物は一切なし。もちもちしていて、これがスープとの絡まりがよく、スープにじわじわと溶け込むことによって、ベースのスープがさらに深い味になっているんです。ちなみに麺打ちというのも非常に難しく、季節やその日の気温、湿度などで同じように打っても麺が変わってきます。そのご苦労の成果があっての、もっちりとのど越し抜群の麺。これにも感動するはずです。

次に、メンマ。僕はこれまで、ラーメンを紹介する時に、メンマについて取り上げることはありませんでしたが、こちらの自家製メンマは、それだけでもおいしい絶品。もちろん、タケノコから作るのですが、もともと持っている酸味やエグミを極力除くために煮込み続け、それから味をつけているそう。お酒を飲まれる方は、これと煮卵、チャーシューなどだけで、おつまみにできます。

さらに、こちらの“煮卵”がまた秀逸なんです。白身の部分はムニュムニュッと柔らかく、箸で割ると、色濃い黄身がとろ~っと出てきます。決して高価な卵ではなく普通の卵だそう。その作り方を聞いたことがありますが、かなり繊細な作業なので、途中で割れてしまう事故も結構あるとか。大変です。
