旨い店はタクシー運転手に訊け!丼の中に妥協一切なしの名店『魂の中華そば』

“攻め”の姿勢で進化する中華そば

 “豚増し好き”な僕としては、ここのチャーシューもオススメです。焼き豚というより“煮豚”です。以前は豚バラの脂多めのチャーシューだったのですが、今は、脂の少ない豚ロース。その辺りも、女性に好かれる理由だと思いますが、こちらの今の絶妙なスープと自家製麺には、この柔らかく、味の染み具合も適度な“煮豚”が最高に合っていると思います。

柔らかく煮込まれた煮豚
柔らかく煮込まれた煮豚
若林さんは、中華ソバのことについてお話を聞くと、色々と教えてくれる。最近では山形の“幻のラーメン屋さん”まで旅をしたとか
若林さんは、中華ソバのことについてお話を聞くと、色々と教えてくれる。最近では山形の“幻のラーメン屋さん”まで旅をしたとか

 というわけで、「特製中華そば」のおいしさをお伝えしてきたわけですが、ぼくが“魂チュー”の事を大好きな理由は、ここの味だけではありません。もう一つの理由をぜひお伝えしておきたいんです。

 それは、常に“攻めの姿勢”であることです。そもそも僕は食べること以外に、格闘技も大好きなのですが、大小どんな試合でも、選手が“勇猛果敢”に攻め続けている姿に感動します。

 こちらのお店には、オープン以来、何度となく訪れていますが、そのたびに味が進化してきています。僕のようなお客が食べるたびに「これはいいね」「これはもっとこうしたほうがいいね」って好き勝手に言わせてもらったりもするのですが、それにもきちんと耳を傾けてくれて、次に来るとまた進化している。

 今、ラーメン屋さんは開店して2年続くお店のほうが少ないと聞きます。でも“魂チュー”は勇猛果敢な攻めの姿勢で、常に思考をやめず、至高の1杯を作り続けている。そんなところが大好きなんです。

お客さんが作ってくれた若林さんの人形。愛されていることがよくわかる
お客さんが作ってくれた若林さんの人形。愛されていることがよくわかる

 それから……あっ、もう着いてしまいました。本当は、「つけそば」のお話もしたかったのですが、それは次回にしましょう。丼の中の1つ1つの美味しさの勢いをぜひ感じてきてください。

 最後に1つだけ。トッピングで、「辛味」や「焦がしニンニクネギ」(各100円)というのがあります。もちろん自家製。これらを食べ進んで途中で入れると味の変化が楽しめます。オススメですよ!

「辛味」100円はエビの風味の食べるラー油
「辛味」100円はエビの風味の食べるラー油

(構成◎土原亜子)

●SHOP INFO

魂の中華そば

店名:魂の中華そば

住:東京都板橋区上板橋1-25-10
TEL:03-6906-6082
営:火~金11:30~14:30 19:00~21:00
  土・日・祝11:00~16:00
休:月曜、第2・第4日曜
※月曜が祝日の場合は営業、翌日休み

●プロフィール

荒川治

東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。