旨い店はタクシー運転手に訊け!丼の中に妥協一切なしの名店『魂の中華そば』

丼の中に、妥協は1つもない!

「特製中華そば」(1,100円)
「特製中華そば」(1,100円)

 まず、スープです。若林さんによると、豚のゲンコツ、豚足、鶏の胴ガラ、鶏もみじ、さらに豚ひき肉と香味野菜を入れて炊き上げて「清湯スープ」をつくり、1日寝かすそうです。翌日、それを強火で濁らせながら、鰹節、鯖、煮干しなどを加えて魚介の香りや味をつけ、基本のスープがやっと出来上がるそうです。

 この動物肉系と魚介系を合わせてスープを作るお店はたくさんありますが、バランスが非常に難しいと思うんです。ちょっとした塩気、甘みなどの強弱が出すぎて、個人の好き嫌いが出てしまう。僕は、甘みが強いタイプのスープは苦手なので、こちらの今のスープは、その塩梅がちょうど良くて、大好きなスープに仕上がっているんです。

食材によってもスープの塩梅が変わるので、若林さんたちは毎日、開店前に1杯食べて、醤油だれでスープの調整をするとのこと
食材によってもスープの塩梅が変わるので、若林さんたちは毎日、開店前に1杯食べて、醤油だれでスープの調整をするとのこと

 そして、麺です。昨年から自家製麺に変わりました。毎日、お店で麺打ちしていて、添加物は一切なし。もちもちしていて、これがスープとの絡まりがよく、スープにじわじわと溶け込むことによって、ベースのスープがさらに深い味になっているんです。ちなみに麺打ちというのも非常に難しく、季節やその日の気温、湿度などで同じように打っても麺が変わってきます。そのご苦労の成果があっての、もっちりとのど越し抜群の麺。これにも感動するはずです。

さまざまな小麦粉を使って自家製麺作りを試した結果、もちもち感を出すために、“讃岐うどん”に使う小麦粉を配合しているそう
さまざまな小麦粉を使って自家製麺作りを試した結果、もちもち感を出すために、“讃岐うどん”に使う小麦粉を配合しているそう

 次に、メンマ。僕はこれまで、ラーメンを紹介する時に、メンマについて取り上げることはありませんでしたが、こちらの自家製メンマは、それだけでもおいしい絶品。もちろん、タケノコから作るのですが、もともと持っている酸味やエグミを極力除くために煮込み続け、それから味をつけているそう。お酒を飲まれる方は、これと煮卵、チャーシューなどだけで、おつまみにできます。

ここのメンマが美味しすぎて。こちらでは「竹の子もりそば」(950円)、「竹の子つけそば」(950円)などの“竹の子シリーズ”も大人気
ここのメンマが美味しすぎて。こちらでは「竹の子もりそば」(950円)、「竹の子つけそば」(950円)などの“竹の子シリーズ”も大人気

 さらに、こちらの“煮卵”がまた秀逸なんです。白身の部分はムニュムニュッと柔らかく、箸で割ると、色濃い黄身がとろ~っと出てきます。決して高価な卵ではなく普通の卵だそう。その作り方を聞いたことがありますが、かなり繊細な作業なので、途中で割れてしまう事故も結構あるとか。大変です。

卵を75度の湯煎で温めておいて、そこから熱湯に入れて4分半。キンキンに冷えた氷水に入れて、殻をむく。そこから、タッパーに入れて、自家製醤油ダレにつけて二晩くらい置くそう
卵を75度の湯煎で温めておいて、そこから熱湯に入れて4分半。キンキンに冷えた氷水に入れて、殻をむく。そこから、タッパーに入れて、自家製醤油ダレにつけて二晩くらい置くそう