食べ物の好き嫌いは、多かれ少なかれ子どもの頃の記憶が関係している気がします。嫌いだと思っていたものでも、ふとしたことがきっかけで、俄然好きになる。そういう経験ありませんか?
長年、オムライスが苦手だった筆者は、数年前に高円寺の老舗町中華『七面鳥』のオムライスを食べて、自分でもびっくりするくらいオムライス好きに変身しました。長年、やや苦手としていた理由は、子どもの頃、家族で食べたオムライスが超絶ハズレだったことに起因します。
中のケチャップライスがベチャベチャで玉ネギや鶏肉が生っぽく、卵を剥がし、具材を避けてしか食べられませんでした。以来、苦手意識があったのですが、数年前、仕事で高円寺にある『七面鳥』のオムライスを食べる機会があり、一転してオムライスが大好きになりました。
その仕事は、地元の人に地元の美味しいお店を紹介してもらう、という企画でした。秋の肌寒い夜、店の前で待ち合わせしたのは、高円寺在住の高校生S君。開口一番、「古い昭和の映画に出てきそうなお店で、めちゃくちゃカッコよくないですか?」と頬を赤くしています。暗闇の中、店内の灯りをたよりに浮かぶ『七面鳥』は、確かに映画のセットのようでした。