日本屈指の肉職人による熟成牛を喰らいに『Bistrot Or en Bouche』(池尻大橋)に行ってきた

ドリップ皆無。肉匠が手当する熟成牛の魅力

河村神賜シェフ
河村神賜シェフ

「本日のお肉はこの5種類です」と言いつつ、河村神賜シェフがテーブルまで運んできたのは、木の板に乗せられた大きな肉の塊たち。それも堂々たる骨付きの出で立ちで、肉ラバーのハートを鷲掴みにするビジュアル。

 聞けば、同店で扱う肉は、滋賀にある精肉の名店『サカエヤ』の新保吉伸さんが手がけたもののみ。その新保さんといえば、肉の目利きの確かさと肉の状態に合わせた的確な手当で、名料理人達からの信任も厚い肉匠。河村シェフも「新保さんの肉は、ドリップが全く出ない。肉の密度が高く味が濃いんです。切った時、カドが立つぐらい肉がしっかりしてますね」と大絶賛します。

肉の注文は200gから
肉の注文は200gから

 この日、用意されていたのは、自然交配で生まれ、完全放牧で育った北海道のジビーフのシンタマと、宮崎県産黒毛和牛のイチボ、そして長崎県産黒毛和牛のサーロイン、北海道産経産牛サーロインの熟成肉(40~60日熟成)、加えて愛農ポークの5種。

右が北海道産ジビーフのシンタマ、手前は宮崎県産黒毛和牛のイチボ(各100g2400円)。奥が40~60日間寝かせた熟成肉のサーロイン(100g2500円)
右が北海道産ジビーフのシンタマ、手前は宮崎県産黒毛和牛のイチボ(各100g2400円)。奥が40~60日間寝かせた熟成肉のサーロイン(100g2500円)

 サーロインとはいえいずれもA3ランク。しかも経産牛のためサシは思いのほか少なめ。水分量も少ない分、焼きが手強いのも事実ですが、グリル板とオーブンを巧みに使いこなし、それぞれの肉の特質を見事に引き出す河村シェフの手腕は見事です。

シンプルで落ち着きのある店内。ワインはナチュール中心
シンプルで落ち着きのある店内。ワインはナチュール中心

 野生の肉に近いジビーフは瑞々しく肉にハリがあり、熟成肉は密な肉質と深みのある余韻で舌を凌駕します。4~5人で訪れ、食べ比べてみるのも一興ですね。

他にもこだわりの料理がたくさん。左は「トリッパのカリカリ焼きケッパーソース」(1200円)。右は「十勝マッシュルームのサラダ」(1000円)
他にもこだわりの料理がたくさん。左は「トリッパのカリカリ焼きケッパーソース」(1200円)。右は「十勝マッシュルームのサラダ」(1000円)

●SHOP INFO

Bistrot Or en Bouche

店名:Bistrot Or en Bouche(ビストロ オー オン ブーシュ)

住:東京都目黒区大橋1-5-1クロスエアタワー 1F
TEL:03-6416-0190
営:12:00~14:30(14:00LO)、18:00~22:30(22:00LO)
  土・祝17:30~22:00(22:00LO)
休:日、土・祝のランチ

(文◎森脇慶子 撮影◎鈴木拓也)

※当記事は『食楽』2019年春号の記事を再構成したものです