勝浦で一番行列する『元祖 勝浦式担々麺 江ざわ』を初体験! 勝浦タンタンメンを美味しく食べるための“五箇条”とは?

『江ざわ食堂』の五箇条に従ってみた!

 さっそく入店すると、まず正面の壁の「江ざわ食堂五箇条」という貼り紙が目に飛び込んできます。初体験者はこれを一読した方が良さそうなので、席につき、メニューと五箇条を見比べます。

 種類は、「担々麺」「中辛」「大辛」「上坦々麺」「チャーシュー担々麺」などがあります。 “身の程をわきまえた辛さ”という言葉が頭をよぎり、消去法で、ベーシックな「坦々麺」(800円)と「上担々麺」(900円)、「チャーシュー担々麺」(1,100円)のいずれか。

 その違いをお店の方に質問しました。すると、「上」が付くのはひき肉の量が多く、「チャーシュー」は「上担々麺」にさらにチャーシューが載っているとのこと。そこで「上坦々麺」に決定。それではいざ、「江ざわ食堂五箇条」に則って実食です!

「上担々麺」900円
「上担々麺」900円

赤くて当たり前と思うべし

 登場した丼には、内側から光を放つような透き通った赤色のラー油が並々と入っています。そこに、ひき肉、玉ネギ、白髪ネギが載っていて、眺めていると艶めかしさすら感じます。しかし、同時に唐辛子の強烈な香りもしてきて、身の危険も感じます。しかし、ビビッていてはいけません。あの五箇条にあったように、「赤くて当たり前」だと思い、スープを一口いただきます。

身の程をわきまえた辛さを選ぶべし

 ハイ、やっぱり辛いです。しかし、ただ表面的な辛さというより、立ち込める唐辛子とゴマ油の香り、両者の甘みもしっかりと味わえるんです。中辛でも大辛でもなく、身の程をわきまえた辛さにして良かったと、胸を撫でおろします。ちなみに中辛と大辛の差もかなりあるようで、お店の方に聞くと、「大辛のラー油は一番濃いところで、どす黒いんですよ」とのこと。あ~怖い。

透き通る真っ赤な自家製ラー油が並々と入っています
透き通る真っ赤な自家製ラー油が並々と入っています

下からよくかき混ぜて食すべし

 さて、麺をすすろうとしましたが、ここで待った、が入ります。そうです、下からかき混ぜることを忘れてはいけません。「江ざわ式担々麺」は、そもそも醤油ラーメンがベース。この真っ赤なラー油の下に醤油ラーメンが潜んでいるのです。そこで、よく混ぜてみると、確かに、辛さが中和されていきます。そして、豚骨や鶏ガラといった動物系の旨みと、ラー油の旨みとが合わさって、今まで食べたことがない濃厚な味を生んでいます。

 そして、いよいよ麺をすすってみると……

よくかき混ぜます
よくかき混ぜます

麺はすするべからず

 そう、「ブハッ、ムハッ」とむせ始め、あたりにスープを飛び散らす羽目になるんです。辛いラー油が麺に絡まっているので、すすると必ずといっていいほどむせるのです。五箇条の中で一番不思議だった「麺はすするべからず」を実感。ではどうやって食べるべきかというと、箸で麺をつかんで口にいれたら、すする代わりに箸で口の中に送り込んでいくように食べるのがいいと思います。

麺はオリジナルの細麺。ちなみに山田食品(千葉県習志野市)の麺を使っているそう
麺はオリジナルの細麺。ちなみに山田食品(千葉県習志野市)の麺を使っているそう

どんぶりの底には……

 麺の食べ方にもようやく慣れてくると、意外にも辛さに慣れ、不思議と辛いと思わなくなってきます。そして加速度的に麺が消えていきます。しかしお楽しみはまだあります。スープに沈んだ“ひき肉すくい”です。穴あきのれんげがついてくるので、どんぶりを傾けたりしながらひき肉をすくっていると、どんぶりの底がちらりと見え隠れしてきます。ひき肉すくいにも飽きたら、一気にスープを飲み干します。すると、どんぶりの底には……

 最後まで粋な「担々麺」でした。この元祖の味が、勝浦中に広まっていったわけですが、“江ざわ式”の決め手は、なんといっても自家製ラー油。お店の方に見せていただくと、驚くことに真っ黒でした。それだけ濃厚に作っているということなんです。

 初めて食べた勝浦タンタンメンは、ラー油の辛さのインパクトも大きいのですが、実はスッキリしていて食べやすいことがわかりました。勝浦でしか食べられないのがもったいないくらいです。しかし、こうしたオンリーワンのラーメンがあることは、何より旅の楽しみ。まだ食べたことがない全国の方々、ぜひ、勝浦に行ってみて下さい。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

元祖勝浦式担々麺 江ざわ 暖簾

店名:元祖 勝浦式担々麺 江ざわ

住:千葉県勝浦市白井久保296-8
TEL:090-4410-5798
営:11:30~18:00(スープがなくなり次第終了)
休:月