烏賊の香りが広がる絶品煮干しスープ

まずは、ニボ男さんに「濃厚 烏賊煮干し中華そば」の食レポをしていただこうと思って彼を見ると、既に恍惚とした表情を浮かべているではないですか!
ニボ男「すいません……。スープを口に含んじゃったんで。まず、強烈な烏賊煮干しの香りとそのエキスが押し寄せてくるんです!」と、とろけそうな口元。
「さらに静かに響いてくる鶏と豚と野菜を炊き込んだスープ。とろっとした濃厚なスープですが、決して塩辛さはなく、上品なお醤油と魚醤の深い味がじわりじわりと……」と独り言のようにつぶやき、ウットリした目をしています。
ニボ男「麺は、パツパツ系の中細麺で、濃厚なスープとの絡みが最高です。チャーシューは、これは低温調理ですね。柔らかくて、臭みは微塵もなくて、豚肉の水分をきちんと残している!」

そこから一気に麺を啜り、途中で、ハッとして「日本山椒のピュアオイル」を一振りしました。
ニボ男「爽やかな香りが広がり、山椒のピリッとした辛味が響きます。お客さんの手で違う味わいに変化させる。まるで手品師のような粋な計らいですね」

さらに「替え玉」が着丼しました。白皿に、麺と角切りチャーシュー、玉ねぎのみじん切り、さらに煮干粉が載っていることがわかります。

ニボ男「まずはよくかき混ぜてそのまま油そば風にしていただきます。煮干しオイルや醤油の返しと言った味が付いているのでそのままでいいんです」
味見するかのように一口二口食べ、そのあと、卓上のお酢と“烏賊のいしる”を数滴垂らしました。皿にかき混ぜて一口麺をすすると
「これはやばいですね」と一言。え、何が?? と聞く間もなくニボ男さんは全てを平らげました。

ニボ男「烏賊煮干しの中華そばは“限定”メニューでやっている店はありますが、通常メニューでやっているお店はとても少ないんです。その理由は、おそらく烏賊煮干しの香りや味が強烈なので、ベースのスープとのバランスを取るのが非常に難しいのだと思います。しかし、こちらのお店は看板メニューにしているだけあって、絶妙なバランスを出しています。長時間煮込んだ無化調のスープの上品さも相まって、エグミなどを微塵も感じさせない。圧巻です」
そして何より感動したというのが“烏賊煮干し”を知り尽くした感じが随所に感じられる点だというのです。

ニボ男「濃厚烏賊煮干し中華そばのそのままの美味しさはもちろんのこと、卓上の調味料の山椒のオイルや“烏賊いしる”などは、烏賊煮干し中華そばや替え玉を“天井”まで楽しむために考案されています。だから最初から最後まで、1度、2度、3度となんども気持ち良くなれる山がある。いやはや、すばらしい煮干しそばです」
それは良かった。と一緒に喜びたいところですが、筆者が注文した「赤鶏と蛤の淡麗中華そば」(醤油味)も、とっても美味しいんですが……。

蛤の味を教えてあげたかったのですが、その件についてまた後日、ニボ男さんに食べてもらうことにして、今日は潔く、店を後にすることに。いやはや、ニボラー愛、恐るべし。
(取材・文◎土原亜子)

●SHOP INFO
店名:麺屋 ねむ瑠
住:東京都文京区本郷4-3-2
TEL:非公開
営:11:00~23:00(22:40L.O)
土日祝は~21:00(20:40L.O)
※売り切れ次第終了
休:なし
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