年間23万人が訪れる! 『ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所』に大人の工場見学に行ってきた

蒸溜棟やキルン塔、約40分の蒸溜所めぐり

「ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所」に着いたら、まずはビジターセンターで受け付け。人気施設なので連休などは待ち時間もありますが、ここにはその時間も楽しい施設がたくさんあるんです。まずはエントランスホールでは、竹鶴氏が実際に使用したポットスチルやウイスキー作りの展示があり、じっくり製造過程を学べます。また、敷地内にはショップや有料試飲のコーナー、写真映えしそうな場所もたくさん。見学ツアーにはガイドさんが付き、ウイスキーの製造工程を丁寧に教えてくれます。見学の後はお目当ての3種類のウイスキー試飲タイム! 早く飲みたい気持ちを抑えて、工場見学開始です。

10:00 乾燥塔(キルン塔)

工場見学は10人以下なら予約なしで直接行ってもOK。時間を指定したいならホームページから予約もできます
工場見学は10人以下なら予約なしで直接行ってもOK。時間を指定したいならホームページから予約もできます

 まずは原料を乾燥させる、乾燥塔へ。ウイスキーのスモーキーなフレーバーをつけるため、大麦麦芽を燻して乾燥させる施設です。このレンガの建物はキルン塔と呼ばれ、「パコダ屋根」という特徴的な建物で、蒸溜所のシンボル的存在です。

10:05 蒸溜塔

ポットスチルという単式蒸留釜で、2回の蒸溜を経てウイスキーの原酒に
ポットスチルという単式蒸留釜で、2回の蒸溜を経てウイスキーの原酒に

 宮城峡蒸溜所の顔とも言うべき、歴史を感じるレンガ造りのキルン塔の並びにある蒸溜塔へ到着。この建物に入ると、甘い香りが立ち込めていて、その香りの良さに気持ちも高まります。

 この香りの正体は、糖化された大麦麦芽を蒸溜させた匂い。大麦麦芽というとビールを連想する人が多いと思いますが、ウイスキーの原料も同じなのです。ここでは、モルトウイスキーを作っていて、大きな蒸留釜が並んでいます。

 いちばん手前の建物が蒸溜塔。こちらは中へは入れず、外からの見学になります。カフェ式連続式蒸溜機という、ポットスチルとはまた違った作り方で、トウモロコシを原料としたグレーンウイスキーが作られています。

10:25 貯蔵庫

 生まれたての原酒は、樽に詰められて貯蔵庫で熟成されます。この時に使われる樽によって、味や香りに変化が出るわけです。例えば、シェリー酒の貯蔵に使われた樽を使用すると、濃密で甘い熟成香を感じる仕上がりに、バーボン樽で熟成されるとスパイシーな味わいに、というふうに、それぞれのウイスキーに適した樽で熟成させていきます。種類にもよりますが、熟成期間は数年から長いもので数十年。なかには50年ものなんていうレア物も。こうして繊細な貯蔵の準備を施し、ゆっくりと樽の中で熟成させることで、香り高いウイスキーが生まれるんですね。

10:35 試飲

 というわけで、工場の外と中から、4か所を巡ってきました。ウイスキーができるまでの製造過程を学んだら、いよいよお待ちかねの試飲会場へ。ここでは3種類のウイスキーが試飲できます。

子どもやお酒を飲まない人は、ジュースを選べます
子どもやお酒を飲まない人は、ジュースを選べます

 この日の試飲ウイスキーは3種類。華やかでフルーティーな香りが楽しめるシングルモルト「宮城峡」、竹鶴氏が亡き妻リタに愛と感謝を込めて作ったという渾身のブレンデッドウイスキー「スーパーニッカ」、昭和13年の発売から愛され続け、リンゴのワインにリンゴブランデーを加えた「ニッカアップルワイン」です。実際に飲んでみると、それぞれまったく異なる味わいに驚かされます。製造工程を学んだ後ということもあり、試飲者同士で「これは樽が違うのかな?」なんて会話も弾みます。