AIで時代を味覚指標に当てはめる新たな試み
実は、NECはAIによる味覚予測シリーズとして、2017年にも名作文学の読後感をAIで分析して珈琲の味わいで再現したブレンドコーヒー「飲める文庫」を作っています。今回の企画はその第二弾商品です。
あの頃は CHOCOLATEは、過去約60年分の日本経済新聞の記事のうち、印象的な出来事があった5つの年をピックアップし、各1年分の新聞記事をAIで分析しています。そして、その分析結果を7つの味覚指標に当てはめていき、各時代のチョコレートをダンデ・ライオン・チョコレートが作ったというわけです。

ダンデ・ライオン・チョコレートはサンフランシスコ発のチョコレート専門店で、最近話題の「Bean to Bar」を特徴とするお店です。Bean to Barとは、カカオ豆からチョコレートバーになるまで一貫した製造を行うこと。カカオ豆を買い付ける際は、実施に農園を訪ねて、生産者についてよく知ったうえで選ぶそうです。
同店のチョコレートは、シングルオリジンのカカオ豆ときび砂糖だけでできるているのも特徴。カカオ豆本来のフレーバーやニュアンスを引き出すために、ココアバターやレシチン、バニラは一切使っていません。
そんなこだわりのチョコレート専門店ですが、通常はカカオ豆の持つフレーバーの特徴に合わせた開発を行っています。しかし、今回の企画ではあらかじめ味の指標が決まったうえで、それに合うカカオ豆選びをするという、異例の進め方だったといいます。

バブル絶頂と崩壊の味の違いは衝撃的
11月1日(木)に開催された発表会では、ひと足お先に5種類のチョコレートすべてを試食させてもらいました。ラインナップは「1969年 人類初の月面着陸味」「1974 オイルショックの混迷味」「1987 魅惑のバブル絶頂味」「1991 絶望のバブル崩壊味」「2017 イノベーションの幕開け味」です。

年代順に食べ進めてみて驚いたのが、「1987 魅惑のバブル絶頂味」と「1991 絶望のバブル崩壊味」の味の違い。同じ“チョコレート”とは思えないくらいです。バブル絶頂味は、甘みやフルーティさ、華やかさが感じられて、上品なおいしいチョコレートという味なのに対し、バブル崩壊味はとにかく苦い……。それもそのはず、バブル崩壊味はカカオ100%で、砂糖を一切使っていないそうです。これはまさに絶望の味。
意外だったのが、「1974 オイルショックの混迷味」は思っていたよりも苦味が強くなかったことです。もちろん、カカオは70%なので普段食べるミルクチョコレートとはまったく異なるのですが、シエラレオネ産カカオにはミルキーさやフローラル感があり、クリーミーな感じや渋みも感じます。まさに、“混迷の味”ということなんですね。
「1969年 人類初の月面着陸味」は、苦味のなかにもフルーティーな味わいが広がり、フレーク状に砕いたカカオ豆が入っていて少しざらつきがあります。このざらつきは、月面の凹凸を表しているそうです。
そして、もっとも近年の「2017 イノベーションの幕開け味」は、最初に甘みが、あとからシナモンやチリペッパーのスパイシーさが感じられ、ちょっと刺激的な味わい。これこそが新たな時代の到来ということなんですね。

あの頃は CHOCOLATEのお値段は各1,620円(税込)となっており、アソートボックスは3,240円。どうせならアソートで全種類食べてみたいですよね。

ダンデライオン・チョコレートのオンラインストアですでに予約を受付開始しており、商品の引き渡しは2018年12月21日~2019年2月14日。取扱店舗はダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前、京都東山一念坂店、オンラインストアのみ。いずれも在庫がなくなり次第、販売終了となっているので、気になる人は急いでご予約を!
(取材・文◎今西絢美)
●DATA
ダンデライオン・チョコレート
https://dandelionchocolate.jp/