成田山表参道の賑わいを守る、純日本家屋の風情あふれる名店『川豊』

行列ができる人気店の筆頭にあがるのが、明治43年創業の『川豊(かわとよ) 本店』です。平日の昼時でも1時間待ちになる日も珍しくないほど、客足が途絶えません。
表参道に漂う香ばしい香りに誘われ足を止めると、純日本家屋の建物の入り口で、職人が手際よくうなぎを捌き、丹念に焼きあげる姿が……思わず、この空間に吸い込まれてしまう魅力に溢れているのです。趣のある建物はその昔、旅籠として活用されていたもので、門前町の風情を印象付けています。
行列時には整理券を配布。HPで順番をチェックしよう

基本、団体ではない限り、予約はできません。『駿河屋』同様、整理券を配っているので、観光は後回しにしていち早くお店へ向かいましょう。ホームページには現在の呼び出し番号と待ち状況が更新されていくので、随時チェックしながら、成田山詣や観光を楽しめます。これはありがたいシステム!

店内は1階と2階に客席があり、名物の急な階段を登って2階に行くと、広々としたお座敷が広がっています。参道が見える窓際は特等席。純日本家屋らしい風情に心が躍り、ついビールを頼んで、ゆったりとした気分に浸ってしまいました。

常に行列ができているせいか、『川豊』ではそんなに待たずに「うな重」がテーブルに出されます。こちらのうなぎはその時の最高のものを目利きが仕入れており、現在は鹿児島県大隅産や愛知県三河産のものを主に使用しているのだとか。
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見るからにふっくらとしたうなぎは箸でスッと切れて、口の中でほろほろとほぐれていきます。ごはんもふっくら炊き上げてあることで、全てがとろける食感。これはウマい! 創業から継ぎ足し続けた伝統のタレは甘すぎず、コクがあり、全体に「上品」さを漂わせています。

店先で捌きたての鰻に串を打ち、サッと白焼きしてから蒸し器で蒸して余分な脂を落とし、旨みだけを残して蒲焼にする……。すべては職人の経験による絶妙なタイミングでなされるからこそ、この食感、旨さが生きているのでしょう。
お店の風情や賑わいの中でいただくうな重のおいしさは格別。思い出に残るひとときと味わいを堪能できますよ。