「冷めウマ」推しにウソはなかった!『鶏笑』の「骨なしミックス」
唐揚げの聖地・大分県中津市に工場がある『鶏笑』。この工場から全国300店舗のフランチャイズ店に、秘伝のタレに漬け込まれた唐揚げが送られるそうで、このことで、どのフランチャイズ店でもブレのない味をいただくことができます。お店側は「冷めても美味しい」を売りにしており、冷ました際のその味にいただく前から期待が膨らみます。
『鶏笑』にはもも肉1個とむね肉2個の唐揚げをセットにした「骨なしミックス」というものがあり、今回はこれをチョイス。テイクアウト後、冷蔵庫でしっかり冷ませてからいただきましたが、「冷めても美味しい」の謳い文句通り、衣はややシンナリしつつも、ベトベトと油が浮いてくる感じはなく、カリッと感をキープ。鶏肉自体からも、妙な匂いなどが出ていないのに、うっすらとスパイシーな旨みを感じる一方、鶏肉特有の臭みなどもいっさいありません。それどころから、冷めているのにジューシーな肉の旨みさえ感じるほどで、とにかく絶品の「冷めウマ」唐揚げでした。
冷ますことで鶏肉の旨みをより強く感じる一品!『とり多津』の「からあげ(醤油もも)」
4年連続で「からあげグランプリ金賞」に輝いた実績もある『とり多津』。「外はカリっと、中はふっくらジューシー」を売りにしており、この味を実現させるために料亭出身の料理長が考案したという、特製タレを24時間鶏肉に漬け込んだものを揚げているのだそう。
こだわりは強く伝わってきますが、果たしてその味、冷ませていただいた際にはどうなるのでしょうか? 「からあげ(醤油もも)」をテイクアウトし、冷ませてからいただくことにしました。
グラム売りなので誤差はありますが、筆者が「からあげ(醤油もも)」を3個買った際は、税込464円。さっそく冷ましたものをいただきましたが、比較的濃いめの味付けの印象で、ややワイルド。冷ましているのに臭みや妙な匂いなどがない点は好印象です。衣のカリッと感ももちろんキープし、揚げたてだけでなく、さまざまな環境下で美味しく食べられる唐揚げを目指して作られているように感じました。
衣のカリッと感のキープはナンバーワン!?『福のから』の「だし醤油からあげ」
唐揚げだけでなく焼鳥やおこわなども商品展開する『福のから』。唐揚げに使用する特製タレは醤油、生姜、みりんなどを黄金比のもとでブレンドし、鶏の旨みを最大限に引き出しているのが特徴です。衣にも「サクパリ」感が出るよう、独自ブレンドの粉を使用することで、すっきりいただける味を目指しているそうです。
さらに、全ての料理に安全で美味しい水を採用するなど、繊細な調理をするのが特徴。この『福のから』で、今回は「だし醤油からあげ」をチョイスしました。
グラム売りなので誤差はありますが、筆者が「だし醤油からあげ」を3個買った際は、税込389円。さっそく冷ませたものをいただきましたが、衣のカリッと感のキープ具合は、今回食べ比べた5チェーンの中でダントツの仕上がり。肉と剥がれることもなければ、しんなりすることもなく、もちろん油っこくもなく、かなり良いクオリティだと思いました。
他方、鶏肉自体はだし醤油自体が薄味のせいか、冷ましたことで鶏肉特有の臭みがほんの少しだけ出たように感じました。この点は少々残念な点ですが、美味しくないわけではなく、この鶏肉感を好む人もいそうです。どことなく上品な唐揚げではありますが、若干の鶏肉の匂いによって個性を打ち出しているのかもしれないとも思いました。
冷めてもバクバク食べたくなる緻密に計算された味!『からやま』の「カリッともも」と「ジューシーともも」
浅草に開店した『からあげ緑-YUKARI-』の「伝説の味」を継承し、国内外に177店舗を展開する『からやま』。シンプルかつ癖のない唐揚げが売りで、単品はもちろん、定食やバーガーメニューなどもある唐揚げ界の一大ブランドです。
この『からやま』も「冷めても美味しい」を売りにしており、今回は「カリッともも」「ジューシーもも」を1個ずつテイクアウト。しっかり冷ました上でいただいてみます。
『からやま』が謳う「伝説の味」とは決して濃い味のものではなく、生姜やにんにくなどをいっさい使わず、数種類の醤油をブレンドして味付けしているとのこと。この影響か冷ましていただいてもいっさい臭みが出ず、あっさりとした味わいでした。衣のカリッと感も揚げたてとさほど変わらないのが素晴らしいです。
また、鶏肉の臭みもなく、むしろ鶏肉本来のほのかな甘さも好印象。カリカリの衣との相性抜群で、冷めているのにバクバク食べたくなるような不思議な美味しさでした。「シンプル・イズ・ベスト」な唐揚げと言いたいですが、その裏側では緻密な味の設計があるのかも? と思いました。
薄味の影響か冷ましたことで若干の臭みも『から好し』の「ももから揚げ」
最後にいただくのは『すかいらーくグループ』の唐揚げブランドとしてよく知られている『から好し』。『から好し』としての独立店舗も多いですが、これ以外に同じ『すかいらーくグループ』の『ガスト』に併設されていることもあり、口にする機会が比較的多いブランドでもあります。
今回いただくのは「ももから揚げ」。ファミリー層も多くオーダーする『から好し』の唐揚げをテイクアウト後、冷ましてからいただくことにしました。
『からやま』の唐揚げと見間違うほど、見た目も味もそっくりで全体の味付けは薄め。衣のカリッと感は冷めたことで若干しんなりしたものの、油分が際立つことはなく、十分美味しくいただくことができました。
鶏肉はタレ感が良い意味で控えめで、素材の旨みを引き立たせるような味ですが、冷めたことで若干鶏肉の臭みのようなものを感じました。この点、好みが分かれるでしょうが、肉々しい唐揚げを好む人ならこの点がむしろ優位になるでしょう。いずれにしても冷めても十分美味しい唐揚げではありました。
【まとめ】「冷めても美味しい」唐揚げナンバーワンはダントツ『鶏笑』!
「冷めても美味しい」唐揚げ、今回は比較が本当に難しかったです。今回食べ比べた『鶏笑』『とり多津』『福のから』『からやま』『から好し』の5チェーンの唐揚げは、いずれも冷めても美味しいものばかりだった一方、何も考えずに口にすると「全部同じ味に感じる」という誤解も生じました。
揚げたての場合は、相応の味付けが引き立つものですが、冷ませたことで、それが消えてしまう印象も抱きました。いずれも臭くなく美味しいことには違いがないですが、各チェーンの個性は総じて消えがちにあることも実感。
このため、念入りに噛み締め、各チェーンの個性を文章で表現したつもりですが、そんな中でナンバーワンだと思ったのは『鶏笑』です。冷めながらも、独自の秘伝のタレのスパイシーな旨みを感じることができ、それでいて冷めているのにジューシーな肉の旨みもありました。これは結構ヤミツキになりそうです。もちろん、他チェーンの唐揚げも、冷めても美味しいものばかり。ぜひ本記事を参考にあなた好みの「冷めウマ」唐揚げを見つけてくださいね。
(撮影・文◎松田義人)