名物「メンチカツ」は必食!精肉店の息子として挑んだ自信作

外房・茂原の精肉店で生まれ育った山中シェフは、小学生の頃にはすでに「将来立派な飲食店を経営する」と作文に書いたほどの、筋金入りの食いしん坊。そのシェフが、3年間の試行錯誤を経て生み出したのが、店のスペシャリテ「メンチカツ」です。
通常のメンチカツは、あえて脂身の多い部分を使い、その脂が揚げ油の中で溶けることによって肉汁になるものが多いですが、「merle」では胃もたれせずに軽く食べられるように、旨味の強い赤身肉を使用し、肉の香りを引き立てるために時間をかけて香味野菜と肉から抽出したフランス料理の「フォン」(出汁)をしっかり練り込んでいます。
それをゆっくりじっくり揚げることで油から圧力がかかり、ゆるく柔らかだった生地が焼き締められ、ぎゅっと凝縮。そのため、熱々の出来たてを噛み締めると、まるで小籠包のように一気に肉汁が溢れます。メンチカツという精肉店の人気者を、フレンチの技でさらにスーパーアイドルにしてしまったような、シェフのこれまでの経歴が織り込まれた看板メニュー。その驚きとおいしさは、ぜひお店で体験してみてください。
“誰もがおいしいものを楽しめる場”をつくるため、細部まで丁寧な仕事を続ける「merle」。ワイン&おいしい物好きならぜひわが町にあってほしいと願う、日常遣い店の理想形のように思えます。尽きない魅力の続きは、次回の後編で。店の味を自宅で楽しめるギフト商品や、秋冬だけのお楽しみなどをご紹介します。



●SHOP INFO
店名:merle(メルル)
住:千葉県大網白里市ながた野1-7-7
TEL:090-6479-2929
営:11:30~14:00(L.O.) 18:00~21:00(L.O.) 日・祝12:00~20:30(L.O.)
休:第2・4水曜&木曜
一人あたり予算:ランチ(洋食ランチセット2,000円~、おまかせコース4,000円~)、ディナー3,600円/4,200円/5,000円。
カード:使用不可
駐車場:5台(無料)
※価格はすべて税別表記。
●著者プロフィール
白井いち恵
千葉市育ち&在住の編集者・ライター。『千葉の本』『千葉の本2』(京阪神エルマガジン社)を手がけ、出身地・千葉県の知られざるおいしい&楽しいを大特集した。路線バス好きでもあり、著書に『東京バス散歩』(同上)。