家事を軽減するために登場した大同電鍋
大同電鍋は、もともと炊飯器として登場しました。発売当時、台湾の一般家庭では、竈に薪をくべて調理するのが一般的でしたが、常に火の側にいなくてはならないのが不便だったといいます。そこで、スイッチを入れるだけで調理ができて、火加減を見守る必要のない大同電鍋が登場したそうです。また、「台湾はガス代よりも電気代のほうが安いことも普及の理由のひとつ」(鄒さん)なんだとか。
内釜に米と水を入れ、外釜に水を入れたら、フタをしてスイッチを入れるだけ。これで炊飯が開始します。水がなくなるとスイッチがオフになる仕組みで、日本の炊飯器に比べると随分シンプルな作りです。

炊飯だけでなく、「煮る」「蒸す」といった調理もできるのも人気の理由。むしろ、最近の台湾の家庭では炊飯器でごはんを炊き、おかずを作るのに大同電鍋を使うそうです。台湾のコンビニにある茶葉と香辛料で卵を煮込んだ「茶葉蛋」も、この大同電鍋で煮込まれています。
台湾旅行者からの口コミで日本でもブームに
日本では2015年にオンラインストアでの発売を開始。日本で発売した理由を尋ねると、驚きの答えが返ってきました。
「最初は日本に住む台湾人留学生や華僑などに向けて発売しました。私のような駐在員も、台湾からわざわざ持って来ていたので、その手間をなくせればと思ったんです。しかし、実際に発売してみると、購入者の9割以上が日本の方でした。逆に、台湾人は台湾から持ってきているので、日本に来て買うことがなかったんです」(簡さん)。
いまでも月に50台前後のペースで安定して売れており、オンラインストアで販売されているモデルは日本仕様です。日本に合わせた電圧なので電気代の無駄がなく、日本の家電の安全規格にも準拠しています。さらに、保温スイッチを設けるといった工夫も施されています。

お話を伺った簡さんと鄒さんのご実家にも、10年、20年選手の大同電鍋があるそう。嫁入り道具として母から娘に渡したり、留学や海外赴任する人にプレゼントしたりするほど、大同電鍋は台湾の人々の生活に馴染んだ調理家電になっているんです。