日本人はロシア料理を誤解してる? ロシア人に「ロシア料理」の正解を聞いてみた!

日本では健康食品として話題のビーツ! ロシア人はどう食べる?

一見お芋のように見えるが、中身は鮮やかな赤色をした実のビーツ
一見お芋のように見えるが、中身は鮮やかな赤色をした実のビーツ

編集部:日本では健康食品として認知されているビーツですが、ロシアでは定番の食材ですよね?

ニゴラさん:ロシアでも健康的な食品ということでよく食べます。例えば血液がサラサラになるとか。

編集部:ロシアでも健康食品というイメージなんですか?

インナさん:というより、昔から普通に食べられていて、今、そういう注目のされ方をしているというだけだと思います。ロシアでは日常的によく食べています。日本で言うと大根のような感じです。

ニゴラさん:ビーツは安くて調理も簡単なので、ロシア人は本当によく食べます。素晴らしい赤さでしょ? ボルドー(赤ワイン)の色でしょ? いいでしょ(笑)

編集部:キレイな赤ですね。ビーツを使った代表的な料理といえば、何ですか?

インナさん:ボルシチです! 一般的なボルシチは、野菜とお肉、そしてビーツを入れたスープです。

この赤みはビーツの色。薄い色のビーツはゴールド色になるのだとか
この赤みはビーツの色。薄い色のビーツはゴールド色になるのだとか

ニゴラさん:もともとはウクライナ料理なんです。ウクライナからロシアに来てロシア料理になりました。赤いボルシチと白いボルシチがあります。

編集部:白いボルシチ?

ニゴラさん:ビーツは赤以外の色がたくさんあるんですよ。例えば、赤いビーツの代わりにホウレン草や、ビーツの葉っぱや、他の野菜を使ったりもします。

インナさん:野菜は、あるものを入れる感じ。根菜とか。ナスも入れたりしますよ!

ニゴラさん:えー、ナス入れたのは知らないです。家庭によって違うんですね。

具たくさんのサッパリとしたスープ。日本のようにシチュータイプではなく、新鮮野菜を食べるスープといった感じ
具たくさんのサッパリとしたスープ。日本のようにシチュータイプではなく、新鮮野菜を食べるスープといった感じ

編集部:日本で言う味噌汁みたいなものですか? 冷蔵庫にある野菜を適当に入れるみたいな?

インナさん:私はそのイメージに近いと思います!

ニゴラさん:え~。私はやっぱりお肉とビーツとキャベツ、玉ねぎ、ニンジンというイメージです。

編集部:住んでいる地域でこれも違うのですね。

ニゴラさん:そうかもしれないけど、このスープはお肉も入るからボリュームもあって、これだけ食べれば結構満足できます。

インナさん:そうですね。スープだけど肉も入るし、オールインワンですね。(笑)

知ってるけどピンとこない! ピロシキ、ビーフストロガノフの真実

ロシアではお惣菜パン的な存在のピロシキ。生地も工程も中身も日本では考えられないくらいの種類があるピロシキ
ロシアではお惣菜パン的な存在のピロシキ。生地も工程も中身も日本では考えられないくらいの種類があるピロシキ

編集部:次に、ピロシキについて。噂によると、実は種類がたくさんあるんですよね? 日本でメジャーなのは、揚げパンにミートソースのようなものが入っている感じなのですが。

ニゴラさん:ピロシキは簡単にすぐ食べられて、お腹いっぱいになるのでいいですよ。日本でいうおにぎりみたいな感じです。普通のパンのように焼いたり揚げたり、中身も違うけどこれは全部ピロシキと言います。

編集部:ピロシキ=おにぎりだったんだ……!

インナさん:まず具材ですが、めちゃくちゃ種類があります。肉はもちろん、炒めたニンジン、煮キャベツやジャム、リンゴを入れたピロシキがあったり、地域によっては魚を入れたりもします。

ニゴラさん:あとキノコも! 私が好きなのはカッテージチーズです。

編集部:おお~、かなり種類豊富ですね。調理法にも違いが?

インナさん: あります。エリアによってバラバラで、中国に近いところでは蒸したり揚げたりするんですよ。ヨーロッパに近い地域は揚げたり、焼いたり。例えばシベリア鉄道で旅をしていると、ウラジオストクでは蒸しや揚げ、終点に近づくと、焼きタイプが多くなってきます。

編集部:シベリア鉄道でピロシキ食べ歩き! 楽しそうですね。乗ってみたくなりました(笑)

日本のイメージと違う白いビーフストロガノフ。ロシアでは白!
日本のイメージと違う白いビーフストロガノフ。ロシアでは白!

編集部:ビーフストロガノフについてはどうでしょう。ロシアを代表する料理の一つですよね?

インナさん:はい、メイン料理の代表格です。お肉とソース、そして付け合わせのジャガイモが定番のスタイルです。

編集部:これ、ちょっとびっくりなんですが、ビーフストロガノフは白いんですか? 日本ではシチューのような茶色のイメージですが。

ニゴラさん:えー、日本では茶色なの? ロシアでは白いですよ。ビーフは牛肉、ストロガノフは人の名前です。ストロガノフさんが料理人に「食べたことのない料理」とオーダーして作らせたもので、その料理人がサワークリームを使って作ったのが、ビーフストロガノフ。だから白いんですよ。それに、ビーフだけじゃなくて、チキンもポークもあるんです。

編集部:それ、もはや“ビーフ”ストロガノフじゃないけど……。いいんですか?

インナさん:ロシアのレストランでは、チキンもポークもビーフストロガノフです。ちゃんと店員さんに聞かないと、チキンが出てくることもよくあるんですよ。これはロシアあるあるですね(笑)

ニゴラさん:だから最近は肉の種類を書くところも多くなりました。あと日本人は、ロシア人はビーフストロガノフを毎日家で作っていると思っていますが、全然違います! これはレストランで食べるものです。

インナさん:作るのがとても大変なので、ロシアの高級料理という位置づけなんですよ。