あえて言おう。「抹茶は飲みもの」であると!【Oh! マッチャブレイク】

抹茶スイーツにはなじみがあるのに、抹茶を「飲む」となると茶道のイメージが強いせいか敬遠しがち。作法とか堅苦しそうだし。そう思っている方にこそ楽しんでいただきたい。コーヒーブレイクでもなければティーブレイクでもない、日常的マッチャブレイクのススメです。

あえて言おう。「抹茶は飲みもの」であると!【Oh! マッチャブレイク】
食楽web

 抹茶、お好きですか?

 抹茶といえば…。抹茶アイス、抹茶ドーナツ、抹茶チョコレート、抹茶マカロン、抹茶フラペチーノときて、抹茶カップ麺まで出ましたねえ。食べもの飲みもの問わず、抹茶◯◯の多いこと多いこと。挙げていったらキリがない。抹茶を使った食べもの飲みもの、出てこいやー! なのである。

 この世に存在する抹茶◯◯を集結させて、日本一の抹茶◯◯を競うM-1グランプリができそうなものだ。と思ったら、すでに別なMの方が先であった。競わないにせよ、ちょっとしたフェスができるんじゃないかと思うほどである。デパ地下やホテルのカフェラウンジで”抹茶フェア”なる催しものを目にする。そうそう、コンビニでもやってますね、抹茶スイーツフェア。抹茶シューに抹茶ロール、抹茶プリン。抹茶◯◯と聞き、それが新商品と知れば、ついついチェックしてしまう人も少なくないはず。みんな、あのほろ苦くて甘い抹茶スイーツが好きなのだ。かくいう私もそのひとりなのだが。

 抹茶のかすかなほろ苦さは甘みとの相性がとてもいい。ゆえにスイーツの材料として使いやすい。登場率が高いのも納得いく。まあ、あのほろ苦さが絶妙なのであって、ただ苦いだけの食べものなら罰ゲームにほかならない。

ここでひとつ、小さな疑問が生じる。

 抹茶を使ったスイーツを日常的に好んで食べるけれど、抹茶そのものを飲むことは少ないのではないだろうか。少ないというより、そのような機会がまずない。なにより、抹茶と聞くと、あの堅苦しいイメージが先行して、お茶碗を何回まわすだとか作法ばかりに気を取られて気が気じゃない。ややこしいことばかりだ。飲んだ気がしない。

あえて言おう。「抹茶は飲みもの」であると!【Oh! マッチャブレイク】

 まったくもっておっしゃる通りだが、たとえば京都や鎌倉など、古都へでかけたとする。神社やお寺で、はたまた風情ある甘味処、和カフェなど、抹茶を提供するところは比較的多い。「こういうところに来たのだから、たまには抹茶でも」といったことになる(こともある)。

 考えてみれば抹茶も緑茶やほうじ茶と同じ日本茶の仲間だというのに、前述のとっつきにくいイメージがあるため、よくも悪くも特別扱い。なにしろ、抹茶には茶道という日本の伝統文化が息づいている。茶道の心得なき者には恐れ多い。近寄りがたい。お作法とかいろいろあるんでしょ、ただ、お茶を飲むだけなのに。

 かくして、抹茶を飲む機会は減り、遠ざかるばかり。抹茶スイーツは食べるが抹茶は飲まない。あまたある抹茶スイーツも抹茶なくしては存在しないのに。抹茶スイーツを否定するわけではないが、抹茶の気持ちになるといたたまれない。この場をお借りして、あえて言わせてもらおう。「抹茶は飲みもの」であると!

 かの名言の力を少々お借りしたところで、次回からは抹茶◯◯ではなく、シンプルに抹茶を味わえる(抹茶が飲める)スポット紹介と、いろんなカタチのマッチャブレイクのご提案をしていこうと思う(宣言!)

あえて言おう。「抹茶は飲みもの」であると!【Oh! マッチャブレイク】

●著者プロフィール

取材・文/笹森ゆうみ

ライター。太宰治の短篇『不審庵』を読んで茶道に興味を持ち、茶道教室に通い始める。茶の湯はお稽古やお茶会でしか触れられないものではないと強く思い、日常生活でお茶を喫する時間を楽しむようになる。お酒の次に抹茶が好き。