抹茶スイーツにはなじみがあるのに、抹茶を「飲む」となると茶道のイメージが強いせいか、敬遠しがち。そう思っている方にこそ楽しんでいただきたい。コーヒーブレイクでもなければティーブレイクでもない、日常的マッチャブレイクのススメです。

「一保堂茶舗東京丸の内店」にある秘密の小部屋「R100(ルームイチマルマル)」。ここで、ほぼ毎月開催している利き茶の会(試飲会)については前回レポをご覧いただくとして、さっそくマッチャブレイク。
試飲会は予約不要。筆者がお邪魔した時はすでに7名ほどの女性がいて、その後は男女入り混じり、ときどき外国人の姿も。ふらりと立ち寄れるということもあり、多いときで10名ちょっとの人たちが入れ替わり立ち替わり。なかには抹茶を飲むのは初めてという日本人(!)もいて驚いたが、ひとりふたりじゃなかった。やはり、抹茶を飲むということは日常的じゃなかったのか……。
まずはお猪口のような器で利き抹茶

試飲会では数種の利き抹茶のほか、石臼を挽く体験やお点前体験もできる。まずは試飲。「一保堂茶舗」で扱う抹茶の中から、この日は4銘柄がシャーレに入ってお目見え。色や香り、味の違いを試してみよう。たとえば、値段が高い抹茶はやっぱり美味しい? 安価なものは? と、利き抹茶できる機会はありそうでない。旨み、甘み、ほろ苦さなど、抹茶を購入するときの参考にもなる。

抹茶を飲むとなると茶碗を持った途端、茶碗を何回まわすか問題に直面しフリーズする人続出なのだが、ご安心を。抹茶の試飲はお猪口サイズの器で供される。

日本酒の利き酒に蛇の目のお猪口があるように利き茶にも似たような器が存在する。このお猪口サイズの器で利き抹茶、ちょうどいい。お気軽さと量が、ちょうどいい。
石臼で茶葉を挽く体験も。
会場には茶葉から抹茶ができるまでの映像も流れ、石臼で茶葉を挽く体験もできる。お蕎麦やさんの店頭で見かけるアレの抹茶版だ。そもそも石臼に触れる機会だってありそうでない。

石臼の中央の穴の上に茶葉を置き、横のレバーをグルグル。小さな石臼だと思って油断すべからず。相手は石の塊だ。挽いてみるとずっしりと重い。ゆっくり回していくと、石臼の溝にきめ細やかなパウダー状の抹茶が溜まる。豊かな抹茶の香りと、茶葉の色からは想像できない鮮やかな色。茶葉から抹茶への変身っぷりに驚く人も多く、これは何度見ても愉快。
濃茶の試飲もできるだなんて!
抹茶といえばお湯に抹茶を溶かし、茶筅(抹茶とお湯を混ぜる竹製の道具)でシャカシャカとシェイクした飲みもののイメージだが、それは薄茶と呼ばれるもの。抹茶には薄茶と濃茶の楽しみ方があり、じゃあ、濃茶はもっと濃いの? 薄茶はそもそも薄いの? ということになるが、薄茶が薄いお茶というわけではない。

一般的に抹茶として知られているのが薄茶。濃茶は抹茶を練って仕上げたまったりとした濃厚な味わい。なにしろ濃厚なのでゴクリと飲むイメージではない。厳かで格式の高い席のものだから、日常的な飲みものとも言えない。ないない言っているが、要望があれば濃茶の試飲も可能。ただし、利き抹茶は薄茶の提供が優先。ご相談のうえ、所望されたし。
抹茶を味わうだけでなく、石臼を挽く体験もできる無料試飲会。そして希望とあらば、「お家でも抹茶を楽しむ方法」を教えてもらえる。次回は抹茶を点てる体験をレポートします。
●DATA
店名:一保堂茶舗 東京丸の内店
住:東京都千代田区丸の内3-1-1国際ビル1F
電:03-6212-0202
営:11:00~19:00
料金:無料
※次回の利き茶の会は「お茶で祝うお正月」。12月21日(水)13~19時。詳細はHPにて。
●著者プロフィール
取材・文/笹森ゆうみ
ライター。太宰治の短篇『不審庵』を読んで茶道に興味を持ち、茶道教室に通い始める。茶の湯はお稽古やお茶会でしか触れられないものではないと強く思い、日常生活でお茶を喫する時間を楽しむようになる。お酒の次に抹茶が好き。