現役トレーナーに聞く筋肉メシ! 筋肉に最強のご馳走は「寿司」である

お寿司は筋肉の味方だ!

トレーニング効果をアップする炭水化物

 寿司の「シャリ」は炭水化物(糖質)です。内臓脂肪の面からいえば、糖質を摂り過ぎれば脂肪として蓄積されやすい特徴があります。しかし、運動を併用すれば、効率よく筋肉を発達させることができる栄養素でもあるんです。

 糖質は筋肉や肝臓でグリコーゲンになってエネルギー源として貯蔵され、必要に応じて消費されます。このグリコーゲンレベルが高いというのは、活動や運動時に、エネルギーが満タンな状態で運動できるということ。高強度のトレーニングや運動を長時間にわたって行えるので、運動効果がより期待できる状態なんです。

 また、この連載でよくお話ししているように、筋トレ後に糖質とたんぱく質を一緒に摂ると、筋肉細胞の修復を効率よく行うことができます。

 つまり糖質は、運動とセットにすれば、まったく悪者ではないのです。

たんぱく質をたくさん食べられる

 続いて、寿司の「ネタ」の魚介類は良質な「たんぱく質」です。「たんぱく質」が筋肉の材料になるのはご存知の通り。

 貝も魚卵も魚も、さらにいえば玉子も全部たんぱく質。魚介類は、約100gあたり20gのたんぱく質が含まれています。お店によって寿司のサイズが異なるので一概には言えませんが、およそ1貫(2個)あたり、たんぱく質を10g程度含んでいると思っていいでしょう。

 つまり、女性は5貫(10個)食べれば1日に必要な「たんぱく質」のほとんどを確保できます。男性はもっと食べられるので、効率よくたんぱく質を摂取できるんです。

筋肉にとって良質な脂質が豊富!

 最後に魚介類には脂質もたっぷり含まれています。魚由来の脂質といえば必須脂肪酸の「EPA」「DHA」と言った「オメガ3脂肪酸」。テレビや広告などで聞いたことがあると思いますが、この「オメガ3脂肪酸」は、「脳の働きをよくする」「血液をサラサラにする」と言われ、体にいいことは知られていますね。

「オメガ3脂肪酸」の働きはそれだけではありません。筋肉にバッチリ働きます。「筋肉の合成促進」や「筋肉の分解を抑制」、さらに「成長ホルモンの分泌も促進」もしてくれます。ですから、脂肪酸ですが、筋肉増強にはもってこいですし、おまけに体脂肪の燃焼効率をよくしてくれるんです。

 スポーツサプリメントの世界ではこの「オメガ3脂肪酸」は、『フィッシュオイル』として販売され、積極的に摂っている人が多いんです。

サバ、イワシ、サンマなどの青魚に多く含まれていると言われる「オメガ3脂肪酸」
サバ、イワシ、サンマなどの青魚に多く含まれていると言われる「オメガ3脂肪酸」

 というわけで、「寿司」がいかに最強の筋肉メシであり、筋肉へのご褒美なのかお分かりいただけたでしょうか? 筋肉を増やしたいという人は、ぜひお寿司を積極的に食べてみてください。

 しかし、いくら筋肉に良いからといって、大食いして1日の消費カロリーを上回れば太ります。

 減量中の人は「チーティング」に利用するといいでしょう。説明すると、ダイエット中に食事制限をしていくと、体重の減少が停滞します。これはカロリー摂取が低くなるので、体がエネルギーを使用せず少量のカロリーでもため込もうとするからです。そこで、一時的に少々カロリーの高いものを食べる「チーティング」(騙すという意味)を行うと、体は安心して、再び、体脂肪を燃焼するようになるんです。体を騙すことによって、停滞していた体重が再び減るようになるわけです。

 このチーティングに、お寿司はうってつけ。ぜひ、活用してみてください。

(編集・文◎土原亜子)

●お話を聞いた方

宮本健太郎

宮本健太郎

『エベレストフィットネス』代表。日本体育大学卒 第一種高等学校教諭(保健体育)。全米ストレングス&コンディショニングスペシャリスト。NSCA認定パーソナルトレーナー。大学生時代よりプロボクシングでの競技生活をスタート。競技引退後は某有名ボクシングジムのチーフトレーナーとして後進の育成に従事し、2011年から2018年3月までこの職を勤めトレーナーとしてのスキルを磨く。今季夏より独立し、ボクシング&フィットネスのジム『エベレストフィットネス東高円寺』を経営。
https://everest-fitness.jp