
正月気分も雲散霧消して気がつけばすっかりいつもの毎日に戻っている今日この頃。年末年始の暴飲暴食で疲れた胃を休めるという意味でも今月は粗食にしておとなしく過ごさねば、なんて思っていたのも束の間、今度は新年会のお声がかかったりするから忙しい。
まあそれもまた良しなんですけど、適当な居酒屋でお茶を濁すのも芸がないということで、たまには仲間を家に呼んで鍋を囲むというのはどうでしょう。それに冬の寒さはこれからが本番。野菜もたっぷりとれて心も体もほっかほか、やっぱり冬は鍋じゃありませんかねえ。そんなときのわが家の必需品を2品ご紹介しましょう。
まず最初はお箸。お客さんをお招きするときにぜひおすすめしたい宮内庁御用達・箸勝本店の利久箸である。この箸の魅力は何といってもその清々しい佇まい。おろしたての箸からほのかにただよう杉の香りといい、すっと伸びた吉野杉の柾目の清涼感といい、この箸のおかげで出された料理の味も2割増しくらいに感じられること間違いなし。この両端が細くなった形は、かの千利休が考案したと言われている。そう言われると確かに茶懐石の凛とした雰囲気が伝わってくるようでなんとも上品ではありませんか。
もちろん見た目だけではありませんよ。軽くて手になじんでびっくりするほど使い易い。そして何といっても口当たりのよさが秀逸なのです。フォークやナイフと違い、舌に直接触れることの多い箸にとって、口当たりは料理の味を左右する重要な要素。数々の有名料理店で使われているのも納得なのである。
割り箸だと抵抗があると思いますが、この箸は最初から二本が分かれているバラ箸なので、気にせずに洗って何度でも使うことができる。おそらく何年でも使えるのだけれど、わが家では新年を迎える度に前の年に使ったものは処分して新調するようにしています。

さて、鍋といってわが家にこれだけは欠かせないものといえば倉敷味工房の「塩ぽんず」。まあ「いまさら塩ぽんず?」なんて声も聞こえてきそうですが、10年ほど前にこれに出会ってからはウチでは鍋といえばこれ以外に考えられなくなっているのです。巷には色々な塩ぽんずが出回っておりますが、あれこれ試したけどやっぱりこれなんですよね。もしまだ塩ぽんず未経験の人がいたら、あるいは他社の塩ぽんずを試したけどあまりピンとこなかった、という人がいたらぜひお試しあれ!鍋がますます好きになること請け合いです。
●著者プロフィール

大熊健郎
CLASKA Gallery & Shop DOディレクター。1969年東京生まれ。インテリア会社、編集プロダクション勤務を経て2008年CLASKAのリニューアルを手掛ける。同時に立ち上げたライフスタイルショップ「CLASKA Gallery & Shop DO」ディレクターとして、バイイングから企画運営全般を担う。
http://do.claska.com/