
ヴァンプ蚤の市で掘り出し物を発見
パリに行くと決まっていくのが蚤の市。週末ともなると市内各所で様々な市が開かれているが、アンティーク好きの旅行者が行くのにオススメなのがヴァンブの蚤の市である。パリの中心部からもメトロで20分前後で行けるのも便利でいい。
前日の夜まで雨が降り続け、翌日も100%雨の予報ということで今回は諦めていたものの、朝になったら奇跡的に雨は止み、時折晴れ間さえ見せる天気となった。これはラッキーと喜び勇んで朝から出かけていき、あちこち歩き回って見つけたのがこのビストログラスと八角皿である。
まずは20世紀初頭くらいにフランスのビストロで使われてきたステム(脚)付きグラス。この時代は手吹きで作られていただけけに、吹きガラスのゆらぎや形や厚みの違いが微妙にありシンプルなデザインながらグラスひとつひとつに表情があるのが魅力。またなんの装飾もなく厚みも程よいところが、変に神経質になることなくカジュアルに使って楽しめるところがいい。

そしてもうひとつの掘り出し物が通称オクタゴナルと呼ばれる八角形のお皿。こちらは1830年代のフランスのモントロー社のもの。17.5cmと小ぶりでおそらくパンかデザート用のプレートだと思われる。このプレートが目に入ったとき、「おお、これはもしやモントローではないか」と思わず興奮してしまった。お皿を裏返すと間違いなくモントローの刻印がある。
店主のおばさまと目が合うと「それはモントローよ、知ってる?」と言われ、おそるおそる値段を聞くと日本のアンティークショップで売られている値段との差に愕然!体の内側から湧き出でようとする笑みを必死にこらえるのがもう大変。とはいえバイヤーとしての誇りから12枚あったプレートを全部買うからもう少しディスカウントしてほしいと価格交渉を店主に懇願したのは言うまでもありません。
●著者プロフィール

大熊健郎
CLASKA Gallery & Shop DOディレクター。1969年東京生まれ。インテリア会社、編集プロダクション勤務を経て2008年CLASKAのリニューアルを手掛ける。同時に立ち上げたライフスタイルショップ「CLASKA Gallery & Shop DO」ディレクターとして、バイイングから企画運営全般を担う。
http://do.claska.com/