記憶に長く刻まれる正統派中華そばの白眉|『えーちゃん食堂』(不動前)

一般人、マニアを問わず根強い支持層を擁する「惠本グループ」で修業を重ね、グ関連店の店長も務め上げた佐藤店主が、今般、満を持して独立。
営業時間は、早朝7時半から13時までと変則的。訪問のハードルはやや高めだが、足を運ぶ価値が十二分にある優良店。同店近隣にお住まいの社会人であれば、朝、こちらで一杯食べてから出社するといった行程が組めそうだ。
現在は、「ラーメン」「つけめん」等を提供。初訪問時にオススメしたいのは、券売機の一番左上にボタンがある「ラーメン」。
スープ、メンマ、チャーシューの各々から発せられる褐色が、丼の中で美しいグラデーションを形成し、巨大な塊となって食べ手の網膜を刺激。オーセンティックでありながら、一流のオーラを隠し切れないビジュアルは、一見の価値がある。

スープは、魚介素材(サバ節・ウルメ節・ウルメ煮干・平子等)に由来する輻輳する滋味を、動物系(ゲンコツ・スジ肉・肉出汁等)の重厚なコクが支え抜く、素材の魅力を詰め込んだ逸品。すする度に口内で山海の恵みの滋味が躍動。そして鼻腔を通じて快楽中枢を直撃する煌びやかな香りに、心動かされない人はいないだろう。

うどん用の製麺機を用いて作られる自家製麺も、香りの芳しさはもちろん、規格外のしなやかさと驚異的なコシの強さを兼ね備えた逸品。記憶に長く刻まれる、正統派中華そばの白眉だ。