炎で仕上げる料理と、ヴァイキングの魂を継いだウイスキーの調和。

続く料理の前に、ここからは趣向を変えてスタンディング形式に。大皿の料理をブッフェスタイルで取り分け、「HIGHLAND PARK」はバーカウンターで好みの飲み方を注文するスタイルです。

カウンターに立つのは、『Maruta』の外山氏と、ゲストバーテンダーである世田谷代田『クォータールーム』の野村空人氏。2人のドリンクのプロフェッショナルが、アレンジを加えてさらなる「HIGHLAND PARK」の魅力を引き出します。12年ならソーダ割り、15年は水割り、18年はロック。そこに自家製の発酵飲料や『Maruta』の庭に茂るハーブを加えて、仕立てるさまざまな味わい。力強い味わいの「HIGHLAND PARK」にハーブの香りが加わって生み出される軽やかさ、奥深さ、まろやかさが、改めてウイスキーの無限の可能性を感じさせます。

合わせるのは石松シェフの真骨頂である薪火料理。薪火で炙った枝豆に、薪の香りをまとわせたクリームを合わせる一品。神経締めの鯛は香草たっぷりのリゾットとともに。焼き茄子とともに味わうスープ、経産牛の熟成感に薪火で香ばしさを加えたステーキ。薪火でカラメリゼした洋酒のケーキは『Maruta』のスペシャリテですが、今日は特別に「HIGHLAND PARK」を使用して香りをつけています。
薪火という原始的な調理法で仕立てられた野趣あふれる料理と、最北の蒸溜所で生まれたウイスキー。それらが響き合い、混ざり合い、「HIGHLAND PARK」と『Maruta』の料理それぞれに、さらなるポテンシャルを引き出させたのでしょう。

「料理人の使命は、常に新たなことに挑戦し続けること。今回もウイスキーを起点に料理を考案する、という未知への挑戦でした。スモーキーな『HIGHLAND PARK』と薪火料理の相性は想像以上。そのなかで料理とウイスキーそれぞれをどう記憶に残すかを心がけました」と振り返る石松シェフ。

「料理との共鳴、そしてハーブを加えた新たな飲み方。『HIGHLAND PARK』は歴史とロマンの酒。200年以上も変わらぬ製法を続けているにも関わらず、今回のように新たな発見があることに驚きました。“ウイスキーはロックで飲むもの”という時代は終わりました。これからは今回のように、より自由に楽しめる酒として広く伝えていきたい」藤井氏もそんな言葉で、今回のイベントを振り返りました。

時間の経過とともに、賑やかな雰囲気に包まれる会場。背後に薪火が燃えるその様子は、ヴァイキングの伝統である火祭りを彷彿とさせるよう。受け継がれる伝統を守りつつ、新たな挑戦も続ける「HIGHLAND PARK」と、革新を続ける『Maruta』。そんな両者の哲学が響き合い、未知なる魅力へと昇華された稀有なる夜でした。
●SHOP INFO
店名:Maruta
住:東京都調布市深大寺北1-20-1
TEL:042-444-3511
営:ランチ11:30~、ディナー17:30~
休:ランチ土曜・日曜・月曜、ディナー土曜・日曜のみ営業
https://www.maruta.green/