尋常じゃないこだわりからサーブされるビールは、唸るほどの旨さ!

『ニユートーキヨー』のビールカウンターは、他店よりも広めに取っていることがすぐわかります。ここで注ぎ手がスイングカランの横ハンドルを巧みに操り、なおかつ、真横に設置されたガス圧の調整もしながらビールを入れていきます。
注がれるグラスは、専用桶で洗われ、さらに専用冷蔵庫で保管されたものを使うそうです。これは、料理などの油がグラスにつかないことを願ってのことで、とにかく「ビールの味」に対する配慮が尋常ではありません。

さっそくスイングカランで入れられた「生ビール」(700円・税別)をオーダー。数秒後、眼前に黄金と白のコントラストが美しい一杯が提供されました。
瑞々しいフワッとした泡と液体部分がしっかり分かれています。きめ細やかな泡を含みながら液体部分を喉へ流し込むと、麦芽の旨みとコクをしっかり感じられながら、キレ、喉コシが小気味良い口当たり。雑味などもなく、「ビールってこんなに美味しかったっけ?」と唸ってしまうほどでした。
スイングカランの蛇口から液体が出てくるまでの徹底した準備

この日の注ぎ手は、『ニユートーキヨー 有楽町電気ビル店』の野々村光太郎店長。ヨーロッパに「ビールのバーテンダー」として修業に出向いたこともあるビール愛溢れる方です。そんな野々村さんにどうしてこれほどまでに美味しいビールを入れられるのかを聞きました。
「液体にストレスをかけないことと、泡もグラスを回転させながら自然に作り上げているので、美味しくなります。また、スイングカランで入れる前段階の品質管理を徹底してこだわっているのも、美味しいビールをご提供できる理由の一つです。
日本のビールは『ケグ樽』というものに入っていますが、居酒屋さんなどでは、厨房に丸出しで置いてあったりします。しかし、厨房では火を使うわけですから温度が上がります。こういう場所に樽を置きっぱなしにしていた、それだけで劣化してしまいます。これを避けるため、当店では、酒屋さんから樽を仕入れた後も温度帯をきちんと管理し、スイングカランに繋いで入れています。
さらに、樽の中のビールは使えば使うほど、液体が減り、ガスの滞留量が多くなりガス圧の力が変わってきます。この点も意識しながら、注ぎ手が微妙にガス圧のバランスを変えながらグラスに注ぎます。つまり、『横ハンドル』の使い方、泡を作る技術も大切ですが、実は蛇口から出てくる前の準備がとても大切なのです。もちろん、スイングカラン自体のメインテナンスも重要で、当店では毎日きちんと洗浄しています」(『ニユートーキヨー』野々村さん)
普遍性の高い『ニユートーキヨー』のピルスナービールはどんなシーン・料理にも合う

野々村さんの話に感動すると同時に、その徹底したこだわりを前に気が遠くなるような思いも感じましたが、ビールそのものは、どんなシーンでも楽しく飲んでいただきたいとも語ってくれました。
「ビールは注ぎたてが一番美味しいです。空気に触れると酸化が進み、苦味が強くなるので、なるべくスイスイ飲んでいただきたいですね。理想はこれくらいで、あとはご自由に楽しんでいただければ嬉しいです。お喋りしながら、食べながら……どんなシーンにも合うのが当店でご提供しているビールだと思っていますので、ご自由に楽しんでいただきたいです」(『ニユートーキヨー』野々村さん)

野々村さんによれば「『ニユートーキョー』のビールはどんな料理との相性も良く、ペアリングの幅広い味」とのことですが、特にオススメなのが肉類。「どんな料理に合わせたら良いか」と尋ねられた際には、「ラム肉のステーキ」(690円・税別)を薦めるそうです。

「当店では半世紀以上、ラム肉をご提案させていただいています。美味しいビールと、合うこの味をペアリングしてぜひお試しいただきたいです。当店のピルスナービールは、『会話を楽しみながら』『食事をしながら』という意味では、邪魔しない味わいだと思います。ぜひ一度ご来店いただき、この味を確かめていただければ嬉しいです」(『ニユートーキョー』野々村さん)
普段、我々が飲んでいるビールとは一味もふた味も違う味わいを楽しめる、スイングカランのビール。旨さの秘密は、注ぎ手の技術の高さと、徹底した品質管理や準備が大切だということが分かりました。ぜひ、一度その奥深い味わいに出会うために『ニュートーキョー』へ訪れてみてはいかがでしょうか。
(撮影・文◎松田義人)