白くてふわふわ! 高円寺『アイノワール』の名物「白いオムライス」を食べてきた

お客さん全員がオムライスを注文!

店先のメニューの写真を見ても、オムライス以外にも気になるメニューはいっぱいあります
店先のメニューの写真を見ても、オムライス以外にも気になるメニューはいっぱいあります

『アイノワール』はオムライス専門店ではありません。さまざまなメニューが楽しめる洋食店ですが、筆者が訪れた平日のお昼、店内のお客さんはほぼ全員、「オムライス」(990円)を注文していました。

 かくいう筆者も、迷うことなく「オムライス」を選びましたが、店内のメニューには、面白いビジュアルの料理や、ふんだんに野菜を使ったパスタやカレーなどいろいろあるんです。

他のお客さんもみんなオムライスを食べています
他のお客さんもみんなオムライスを食べています

 さて、待つ間にも、先客のテーブルに真っ白でふわふわのオムライスが運ばれています。全員がそれを横目で見て、そして思わず見惚れてしまいます。そもそも、あのメレンゲのオムライスを何かのメディアで目にして、それを食べに来ているが多いはずなのに、あまりにも変わった見た目なので、「何だ、あれは!?」とつい目で追ってしまうわけです。

 店内には、ミキサーのブーン、ブーンという音が響いています。卵を泡立てている音でしょう。隣のカップルは、「今、卵、泡立ててるよ! 絶対に泡立ててる!」などとささやき合っています。そして待つことしばし。とうとう筆者の前に運ばれてきたオムライスがこちら。

泡で覆われた白いオムライスがお目見え
泡で覆われた白いオムライスがお目見え

「うわ、泡すごい」というのが第一印象。フワッフワの泡が鉄板を覆い尽くし、こんもりした山状になっています。フッと吹くと、はかなく消えていってしまいそうです。

 いざ、泡雪のような卵にスプーンを入れて口に運びます。ここで、思わず「ん?」と驚きました。この泡、得も言われぬ優しい塩味です。考えるまでもなく、オムライスの卵なわけですから塩味で当然なのですが、クリーム状のビジュアルから、脳が勝手に甘い味を想像してしまっており、一瞬だけ混乱しました。

 泡はふんわりと口の中で溶けていきます。うーん、なんとも不思議な食感です。そして泡を脇に寄せると、中から顔を出したのは、意外にも洋風ピラフ。

泡の中のピラフは、鶏肉がゴロゴロ入った炊き込みご飯のよう
泡の中のピラフは、鶏肉がゴロゴロ入った炊き込みご飯のよう

 鶏肉がゴロゴロ入ったピラフは、優しい出汁の味がして、ご飯ひと粒一粒に旨みが染み込んでいます。ふわふわの卵と至極のピラフが織りなすハーモニー。これは確かに絶品です。

鉄板に触れている部分の卵は、ちょっぴり硬くなっていて、卵味が濃厚
鉄板に触れている部分の卵は、ちょっぴり硬くなっていて、卵味が濃厚

 さらに、食べ進んでいくと、鉄板に触れている部分の卵は、スフレの表面のようにやや固くなっており、卵の味わいが濃く感じられます。時間とともに泡が少しずつ変化して色が濃くなっていきます。その変化も見ているだけで面白い! 予想以上にボリューミーでしたが、オムライスは泡のごとく胃の中に消えていきました。

徐々に変化する卵の泡が面白い
徐々に変化する卵の泡が面白い

 ちなみに『アイノワール』はご主人と奥さまの2人営んでいます。あの泡の正体を聞くと、実は、全卵1個分を泡立てているそうです。想像はしていましたが、白身のメレンゲではないんですね。

 また、ピラフは、「ベジブロス(さまざまな野菜から抽出するダシ)」を使い、鶏肉と炊き込んだ洋風ピラフ。特に乾燥させた野菜からじっくりスープをとっているそうで、だからこそ滋味深い味わいなんだと納得しました。

ご主人は元ホテルの料理人。10年ほど前に交通事故に遭い、フライパンが思うように振れなくなって考案したのがメレンゲ状のオムライスなんだそう
ご主人は元ホテルの料理人。10年ほど前に交通事故に遭い、フライパンが思うように振れなくなって考案したのがメレンゲ状のオムライスなんだそう

 見た目のインパクトだけでなく、食材や調理法にさまざまな工夫を凝らされていることがわかり、感動すると同時に、「ああ、もっと早く食べに来てれば良かった」と後悔。何しろ、オムライス意外にも、ほうれん草のキーマカレーや鉄板ナポリタンなど、気になるメニューがたくさんあるんです。皆さんもぜひ食べに行ってみてください。オムライスの不思議な食感にトリコになると思いますよ。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

サンテカフェ アイノワール外観

店名:サンテカフェ アイノワール

住:東京都杉並区高円寺南2-37-13 ハイム山川1F
TEL:03-5929-7210
営:11:30~14:30、17:00~20:30
休:水曜(火曜は昼のみ)