オムライス好きには、ご存知のように大きく分けて「卵ふわとろ派」と「卵うす焼き派」の2派閥が存在します。前者はチキンライスに半熟のとろとろオムレツにデミグラスソースなどをかける洋食系、後者はチキンライスをうす焼きの卵でくるみ、ケチャップをかけていただく町中華系です。
ちなみに筆者はダンゼン昭和レトロな「卵うす焼き派」に与(くみ)する者です。ふわとろ卵の食感やソースの味わいよりも、ややパリッとした卵とチキンライスをスプーンで掘削しつつ食べる、昔ながらのオムライスが好きだからです。そして筆者の周囲には、これに賛同する人がけっこう多くいます。
ところが先日、ゴリゴリの“卵うす焼きオム原理主義者”の友人から、耳を疑うような言葉が発せられました。いわく「日本橋にある洋食屋『好成軒』のオムライスを食べたら“卵ふわとろタイプ”の美味しさがわかった。とろとろ卵とデミグラスソースが絶妙で、まるで飲むように食べられる」とのこと。
聞いた瞬間、「造反」「謀反」「背信」「寝返り」「裏切り」などの不穏な言葉が脳裏をよぎります。あっけなく「卵ふわとろ派」に寝返るとは…。しかし、ここまで言われたら、食べないわけにはいきません。一体どんなふわとろオムライスなのか、実際に行って確かめてみることにしました。