新宿2丁目の伝説的ロックバーの旨すぎる「ドライカレー」とは?

音楽と酒とつまみで更けゆく、新宿の夜

店長のケンちゃんこと能登谷健二さん。6000枚以上に及ぶ膨大なレコードコレクションのすべてのレコードのありかを把握しています
店長のケンちゃんこと能登谷健二さん。6000枚以上に及ぶ膨大なレコードコレクションのすべてのレコードのありかを把握しています

 半地下の店に入るとまず目に入るのは、カウンターの後ろにずらりと並ぶレコード。その数は日々増え続けており、今や6000枚を超えるとか。ラインナップは70年代ロックをメインにレゲエ、ジャズ、日本の歌謡曲まで幅広く揃います。この膨大な数のレコードから、能登谷さんがその時の気分にぴったりの1枚を見つけ出し、レコードの針を落とします。もちろん、聴きたい曲がある時はリクエストも受け付けてくれます。

ケンちゃんのヘビロテの一部。左から「浅川マキ/寂しい日々」「FREE/TONS OF SOBS」「JEFF BECK GROUP/ROUGH AND READY」
ケンちゃんのヘビロテの一部。左から「浅川マキ/寂しい日々」「FREE/TONS OF SOBS」「JEFF BECK GROUP/ROUGH AND READY」

 ミュージックバーというと、音楽がメインで酒やつまみは二の次というイメージもありますが、ここにはなかなかに美味しいつまみが出てきます。小さなキッチンスペースから驚くほど多様なメニューが生み出されるんです。

秘伝のレシピで5日間かけて作り上げる「ドライカレー」990円
秘伝のレシピで5日間かけて作り上げる「ドライカレー」990円

 オープン当時から変わらぬメニューの一つにドライカレーがあります。オリジナルのレシピで5日間かけて煮込み続けるビーフカレーをご飯と炒めたドライカレーは、スパイスがスープに溶け込んで、驚くほど奥深い味わいに仕上がり。ミュージックバーとしては他に追随を許さないほど、完成度の高いカレーです。

「このカレーは、オーナーが作り上げたレシピを受け継いでるの。カレーの作り方で詳しいことは話せないんだけど、5日間煮込まないとこの味は出ないんだよね。僕らもそうだけど、ミュージシャンはなぜか、カレーに一家言ある人が多いね」と能登谷さん。

手作りの「レーズンバター」440円は、ウイスキーやバーボンにぴったり
手作りの「レーズンバター」440円は、ウイスキーやバーボンにぴったり

 もう一品、常連客に人気のメニューに、レーズンバターがあります。バターをやわらかくしてレーズンを練り込み、クラッカーで挟んだ自家製のレーズンバターは、絶妙な塩加減でこれ以上ない酒のアテ。他のメニューは日替わりで、冷麺やホットサンド、餃子などラインナップは多彩。どれもが期待以上に美味しく、バーフードのレベルを軽やかに超えた新鮮な驚きを感じられること必至。

カウンターの奥にはずらりとお酒とレコードが並びます
カウンターの奥にはずらりとお酒とレコードが並びます

 酒はバーボンとウイスキーがメインでボトルキープも可能。感情を揺さぶる音楽にどうしようもなく愛しい酒、そしてつまみがあれば、夜の時間はあっという間に過ぎていきます。定休日なしで朝6時まで開いているので、音楽に身を浸したい時に、時間と自分を忘れて訪れてみることをオススメします。

(文◎千葉泰江 撮影◎大星直輝)

●SHOP INFO

VELVET OVERHIGH’M d.m.x 店内

店名:VELVET OVERHIGH’M d.m.x

住:東京都新宿区新宿2-14-13 筒井ビル1階
TEL:03-5379-3220
営:19:00~翌6:00
休:なし

※当記事は『食楽』2019年冬号の記事を再構成したものです