誰もがその味に感動する理由とは?

そもそもガトーバスクとは、フランス・バスク地方発祥の伝統的な焼き菓子。スペイン産のアーモンドを練り込んだサクサクのサブレ生地の中に、フランス産のダークチェリーのコンフィチュールをサンドして焼き上げています。
私が初めてこちらの「ガトーバスク」を食べたのは、『メゾン・ダーニ』の3席のイートインスペースでした。1個が手のひらほどの大きさで、持ってみると焼きたてのホカホカ。見た目は非常に素朴ですが、香りといい、質感といい、とても上質なんです。

かじってみると、生地のほっこりした甘さとダークチェリーの甘酸っぱさが口に広がり、その優しい味に感激してしまいました。
最初はサクッとした食感で、口の中でほろほろと崩れていきます。同時にふわりとアーモンドの香ばしさが漂います。さらに噛んでいると、今度はザクザクとした砂糖の食感がきて、中のコンフィチュールの部分はしっとり。食感の変化も実に楽しい焼き菓子なのです。
最初は母への手土産として購入。次に訪れたときは友人宅への手土産に、さらにはビジネスの相手先のためにも買うようになりました。贈った方からは必ず絶賛されますし、先日は上司から「あれはお酒にも合うね」と言われました。そう、まさに大人のための上質な焼き菓子なんです。
『ミルモン』の味を完璧に再現

バスク地方には、素晴らしい「ガトーバスク」を提供するお店があります。スペインのアルフォンソ13世をはじめ、世界の王侯貴族や映画スターなどが足繁く通っていた名店、それが、フランス・ビアリッツにある1872年創業の老舗『ミルモン』です。パティシエの戸谷さんはそのお店で修業していたのです。
『ミルモン』のシェフは、戸谷さんの真摯な仕事ぶりを見て、老舗のガトーバスクのレシピを細かく伝授してくれたそうです。つまり、『ミルモン』の味が、そのまま白金の『メゾン・ダーニ』の味でもあるわけです。そしてそこには、日々変わる日本の気候を読みながら「ガトーバスク」を焼き上げていく戸谷シェフの技術が光ります。
シェフ・戸谷さんに、「食感とバランスが素晴らしいですね」と声をかけると、「食感に関しては、砂糖の使い方にもちょっとした工夫をしているんですよ」と教えてくれました。なんでも、生地を練る際、全体に使うブラウンシュガーの7割程度にとどめ、寝かし終わった生地に、残りの3割を練りこんで焼き上げるそうです。後から入れたお砂糖が、ザクザクとした食感になるんですって。
「2~3日は日持ちするお菓子ですが、やっぱり焼きたてが一番美味しいと思います。1日に10回ほど焼いているのは、お客様にできたてを味わってもらいたいからなんです」と戸谷さん。

『メゾン・ダーニ』の「ガトーバスク」が手土産として誰もに喜ばれる理由は、“他にはない特別なお菓子を、一番美味しい状態で届ける”という心づかいが詰まっているからでもあるんですね。
ちなみに、ガトーバスクは、定番のダークチェリー以外に、カスタードクリームやチョコレートクリームなどが入ったものもあり、季節商品では、リンゴやカボチャなどもあります。どれもオススメですので、いろいろな種類を詰め合わせると喜ばれます。
ちなみに、『メゾン・ダーニ』は、実は生菓子もオススメ。現地・バスク地方でも大人気の「ベレバスク」が買えるのです。チョコのスポンジ生地に、ヘーゼルナッツ風味のガナッシュやチョコムースを合わせたケーキ。私は、ホームパーティなどの際に手土産として活用しています。

ぜひ、大切な方への贈り物に、また自分のご褒美スイーツとして『メゾン・ダーニ』を活用してみてください。
(撮影・文◎土原亜子)
●プロフィール
桃井叶恵(モモイ・カナエ)
秘書。アラサー独身。タイ・バンコク生まれ。スペイン語、フランス語、ドイツ語、中国語、タイ語を話せる。だが、やや日本語が苦手。国内外問わず1人旅が好き。特に、海外旅行では中心部から離れた田舎の店や屋台などの名もない店の美味しい地元飯を見つけるのが好き。