
スペイン・バスク地方にある美食の街・サンセバスチャン。旧市街地には数多くのバルが建ち並び、中でもひときわ賑わっているのが『BAR LA VINA(ラ・ヴィーニャ)』です。日本語で「ぶどう園」という名前のバルには、現地の人だけでなく、世界中の人がわざわざ訪れる名店中の名店。バスク名物のピンチョスやオムレツ、そしてもちろんワインも美味しいのですが、お客さんの一番のお目当てはなんと「チーズケーキ」なんです。
店の厨房でこんがりと焼き上げられるチーズケーキは香ばしく、しっとりとろとろで、濃厚な味わい。他のバルでお酒を飲んでいても、〆にはこれを食べにいかなきゃ、とお客が集まってくるそう。もはや、『LA VINA』に寄ってから帰るというのは、サンセバスチャンのバル飲みの嗜みでもあるんです。

「一度食べたら生涯忘れられない」と絶賛されているそのチーズケーキは、世界中のパティシエがレシピを欲しがり、研究されている名品なのです。
しかし、1958年の創業の『LA VINA』は、代々、家族経営のバル。厨房には家族以外、誰も入ることは叶いません。まさに門外不出のチーズケーキ。これまで誰もそのレシピを知ることはできませんでした。


ところが、なんと日本の東京・白金高輪に、その『LA VINA』とまったく同じチーズケーキが味わえる専門店『GAZTA』が、7月5日(木)にオープンするというのです。「嘘でしょ?」と思う人も多いのではないでしょうか。
ですが、本当なんです。実は、フランスでパティシエール修業をしていた勝羅沙織(かつら・さおり)さんが、世界でただ一人、その『LA VINA』の厨房に入ることを許され、なんとレシピまで伝授されたというのです。

勝羅さんは、他のパティシエ同様、『LA VINA』のチーズケーキを食べて以来、その味を学びたいと何度となく足を運び、手紙を書き、電話もかけたそうです。しかし、当然ながらすぐに想いは実らず…。日本でパティシエールを務めながら、その思いを諦めきれず、ずっと連絡を取り続けた結果、とうとう“まさか”が実現。
「厨房に入る機会をいただき、とても親切に、チーズケーキの作り方をイチから学ばせていただくことができました。さらにご主人から、貴重なレシピまでいただくことができ、本当に震えるほど感動しました」
しかし、帰国後、いざ試作してみると、やはり秘伝のチーズケーキ作りは簡単ではなく、特に焼き加減に苦労があったと言います。


そんな試行錯誤を経て、完成した勝羅さんのチーズケーキ。試食させていただくと、『LA VINA』のそれを知らなくても、これまで食べたことがないほどしっとりしていて、中がとろ~り濃厚で、思わず「うわ~何これ、美味しすぎる!」と目がまん丸になること必至です。

これは間違いなく食べないと損です! 直行便が飛んでいないサンセバスチャンに行くより、白金高輪駅から徒歩1分の『GAZTA』に行く方が断然早い! というわけで、ぜひ、オープン初日から行ってみてください。ほっぺがぽろりと落ちるくらい美味しいです。
(取材・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:GAZTA(ガスタ)
住:東京都港区白金1-14-10
TEL:03-3440-7495
営:9:00~19:00
休:月