【東京カレーの名店】復活した伝説のカレー店『夢民』で進化したカレーを味わってきた!

【東京カレーの名店】復活した伝説のカレー店『夢民』で進化したカレーを味わってきた!
食楽web

●虎ノ門で愛されるカレーの名店『Spice and Vegetable 夢民』の魅力とは?

 1975年に東京・西早稲田の明治通り沿いにオープンした小さなカレー店『夢民(ムーミン)』。スープカレーなどの概念がない時代からサラッとしていながらもコク深いインド式カレーを提供し、行列が絶えない名店中の名店でした。筆者も高校生の頃から通っていた店で、あの味わいを思い出すと、今も脳が熱くなります。

 その後、少し南に行った諏訪通り沿いに移転しましたが、2012年に創業者が引退し閉店。お台場のダイバーシティで復活しますが、2022年に閉店。その翌年の2023年に、今度は虎ノ門に『Spice and Vegetable 夢民』としてさらなる復活を遂げました。

『Spice and Vegetable 夢民』の店内
『Spice and Vegetable 夢民』の店内

 虎ノ門の『Spice and Vegetable 夢民』はコースメニューなどもあるほどの進化ぶりで、最初の店を知っている人からすれば、随分とオシャレになった印象。あの脳裏に焼きつく味わいは今も変わらず健在なのでしょうか。

 今回は、前日の夕飯を抜き、お腹をいっぱい空かせてきました。準備万端、というわけで、オリジナルの『夢民』メニューから進化系メニューまで、4種を食べ比べてみることにしました。

「ポパイカレー」は今も絶品!

オーダーはタブレットで行う仕組み
オーダーはタブレットで行う仕組み

 筆者の遠い記憶に残るかつての『夢民』は、忙しく調理し続ける店主(あるいは奥さん)の動きを妨げないよう、少し手が止まったのを見計らって注文する、という暗黙のルールがありました。

 平たく言えば、“ちょっと怖い店”でもあったわけですが、現在の『Spice and Vegetable 夢民』はわかりやすいタブレットオーダー。ここで、筆者は大好きだったオリジナルの「ポパイカレー」と「ベーコンエッグ野菜カレー」をオーダーしました。

 程なくして「ポパイカレー」が到着。見た目も香りもあの日の『夢民』と全く同じです。

「ポパイカレー」(1200円)
「ポパイカレー」(1200円)

『夢民』では、オーダーごとに具材を炒め、ベースのカレーと合わせるのが特徴。そのためか、少しカレーソースのポット(グレイビーボート)より多めに作られることが多く、ポットからあふれた分のソースは、あらかじめライスの上にかけられてサーブされるのが習わしです。

 このスタイルが健在なことに大感激でしたが、それ以上に嬉しいのが、ほうれん草、トマト、卵が、独特のスパイシーなカレーに絡み合った味が健在であること。再会できて心から嬉しい!

 続いて、これまたオリジナルの「ベーコンエッグ野菜カレー」が運ばれてきました。

「ベーコンエッグ野菜カレー」(1280円)
「ベーコンエッグ野菜カレー」(1280円)

 こちらもよく食べ慣れた味わいで、頬が落ちる旨さでした。10代の頃に受けた「カレーとベーコンとキャベツがこんなに合うなんて!」という衝撃がフラッシュバックするほど。今この味を楽しめることに感謝せざるを得ません!

進化系メニュー「14種の野菜カレー」とは?

「14種の野菜カレー」(1600円)
「14種の野菜カレー」(1600円)

 懐かしい思い出ばかりに浸っているわけにはいきません。『Spice and Vegetable 夢民』では、「ベジタブルカレー」「スペシャルティカレー」という進化したメニューもあります。まずは「ベジタブルカレー」のうち「14種の野菜カレー」を追加オーダーしました。

 丁寧に素揚げされた14種類の野菜がご飯の上に綺麗に盛られ、自分でかけていただくという寸法。野菜は全国の農家から届いた規格外のものや、珍しいものを積極的に使っているようで、そのときどきで内容は変わるようです。

 野菜をふんだんに使う『夢民』のスタイルを進化させたカレーで、これがまたオシャレで美味。大ぶりのオクラやシシトウなどがカレーソースによく合います。

新旧『夢民』の禁断コラボ「ネオ・カツカレー」

「ネオ・カツカレー」(1780円)。カツと「ポパイカレー」の禁断の共演!
「ネオ・カツカレー」(1780円)。カツと「ポパイカレー」の禁断の共演!

 そして最後にスペシャルティカレーに位置付けられる「ネオ・カツカレー」をオーダーしました。かなりお腹が膨らんでいますが、今日は大好きな『夢民』祭りです。罪悪感などまったくありません。

 特製のハーブスパイスに漬け込んで香ばしく揚げたカツの脇に、「ポパイカレー」がかけられています。足し算&足し算の、まさに禁断とも言うべきコラボレーションですが、これまた双方がよく合いライスがどんどん進みます。新旧の『夢民』の良さを同時に味わえる一品。ファンにとっては、実は最も意義深いメニューだと思いました。

往年のファンをも唸らせる名店

『夢民』の美味しさは今日も健在だった!
『夢民』の美味しさは今日も健在だった!

 店舗展開がオシャレで、進化系メニューもあることで、当初は「思い出が過去のものになったらイヤだな」と思いながら『Spice and Vegetable 夢民』へ向かいました。

 しかし、ここまでの通り、あの味わいがしっかり健在なことに加え、進化系メニューも絶品かつ意義深いもので、お腹いっぱい&大興奮でした。

 そのメニュー展開や味わいから自ずと往年の『夢民』ファンをも唸らせようとする「心意気」のようなものが伝わってきました。なかなかの名店『Spice and Vegetable 夢民』、虎ノ門の地にいつまでも根付いてほしいと思いました。

(取材・文◎松田義人(deco))

●SHOP INFO
Spice and Vegetable 夢民

住:東京都港区西新橋2-13-3 西新橋2丁目ビル 1F
TEL:03-6205-4343
営:11:00~15:00(14時半LO)、18:00〜21:00(20時半LO)※水・金・土のみディナーあり
休:日・祝