
●親子丼の発祥店として知られる人形町の老舗『玉ひで』が、3年半ぶりにリニューアルオープン。新生・玉ひでの親子丼を味わってきた。
「親子丼」といえば、鶏肉と卵でつくる丼メシの定番だが、東京で親子丼といえば、何をおいても人形町の鳥料理専門店『玉ひで』の名を挙げないわけにはいかないだろう。
『玉ひで』の創業は、江戸期の宝暦10年(1760年)。軍鶏(しゃも)鍋をはじめとする鳥料理の専門店として、265年という途方もなく長い歴史を紡いできた。
そして「親子丼」という料理を生み出したのも、この『玉ひで』。明治24年に、軍鶏鍋の肉と割り下を卵でとじ、ご飯にのせたものを出前限定で売り出したのが始まり。

この親子丼を求める客で形成される同店の行列は、もはや人形町の街の風物詩と言っていい。もちろん、“発祥の店”というだけで人は列を作らない。並ぶのはやっぱりウマいから。常に親子丼の味をブラッシュアップしているからこそ、時代が変わっても人気なのだと思う。

そんな『玉ひで』、2022年から店舗の改修工事が始まり、しばらく休業中だったが、この2025年11月1日にようやく本格的に再始動する。リニューアル後はビルとなり、今後、2Fに日本酒バー、12Fには『玉ひで』の高級ラインがオープン予定。
これに先駆けて行われた内覧会では、江戸時代から飼育されていた軍鶏の血統を受け継ぐ銘柄鶏「東京しゃも」を使った「元祖親子丼」(2800円)が振る舞われた。

赤くて丸い丼のフタを開けると、目に飛び込んでくるのは、プルンと波打ち、キラキラと黄金色に輝く卵の海と、点在する美しい鶏肉。玉ねぎも三つ葉もなし。シンプル・イズ・ベスト。この時点で、眼の前の一杯がただの親子丼ではないことがわかる。

添えられたスプーンで、卵をまとった鶏肉とご飯をひと口。秘伝の割り下で軽く煮込まれた「東京しゃも」の強い旨みと噛み応えがたまらない。そこに特注の卵&割り下の甘辛い味わいが同時に押し寄せてくる。絶妙な炊き加減のコシヒカリとの相性は言わずもがな。さすが発祥の親子丼はひと味違うと思わされる逸品だった。
![「軍鶏づくし親子丼」3800円 [食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2025/10/20251031-tamahide06.jpg)
今回いただいた「元祖親子丼」のほか、「とく親子丼」(昼のみ・1900円)、「軍鶏づくし親子丼」(3800円)、「天然白レバ入り親子丼」(5500円)など、さまざまなバリエーションの親子丼が楽しめる。

もしまだ『玉ひで』の親子丼を食べたことがないという人は、11月1日のリニューアルオープンを機に訪れて、東京の親子丼の最高峰を体験してみては?
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