『シーズマンベーカー』は、丸ノ内線・方南町駅と京王線・笹塚駅の間の中間あたり。陸の孤島のような場所にある街のパン屋さんです。初めて行くとかなり迷うと思いますが、近所の人はもちろん、外国人の方や、週末にはパン好きが遠くからわざわざここを目指して訪れる超人気店なのです。
という情報を筆者は露知らず、散歩の途中で道に迷い、偶然この店を見つけました。絵本の中から飛び出てきたような可愛い佇まいに加え、外国の方や女性が次々と入店する様子を見て、つられて買ってみました。それがびっくりするくらい美味しくて、以来、他のパンでは満足できなくなり、交通の便の悪さもなんのその、足繁く通う店になってしまったのです。
何がそんなに美味しかったのかというと「パンの生地自体」としか言いようがありません。食パン、バゲット、クロワッサン、総菜パンなど、多くのパンに全粒粉を使っていて、それは、これまで食べた全粒粉のパンの生地とはぜんぜん違う気がしたのです。
全粒粉入りのパンというと、ザラザラ・ゴツゴツとした食感ですが、『シーズマンベーカー』のパンはしっとり、もっちりしていて、麦の香りが強く、素朴な美味しさなんです。それだけではなく、なぜかとても惹かれるのです。そこで取材をしてきました。