「とんかつ定食」530円の『まるけん食堂』。俺たちに“昭和レトロ食堂”の良さがわかるのか?|食楽中学生日記

「とんかつ定食」530円の『まるけん食堂』。俺たちに“昭和レトロ食堂”の良さがわかるのか?|食楽中学生日記
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中3男子といえばいつも腹ペコ。都内公立中学に通う「良太(リョウタ)と周(シュウ)」の2人は、“旨い、安い、大盛り”と聞けば、自転車を飛ばし、どこにでも行く。そんな中3コンビが、今回は吉祥寺にある老舗定食屋『まるけん食堂』に向かった。

後輩を連れて昭和レトロな食堂へ

 良太とボク(周)は、毎週日曜日、クラブの朝練後に昼メシを食べに行くのを楽しみにしている。今日は、良太の提案で、吉祥寺にある古い定食屋へ。「そのあと銭湯にも行こう」と話していたら、後輩で小学4年生の拓哉が、「銭湯に行ったことがないから行きたい」と言い出した。そこで今回は、いつもの中学生2人+小学生1人という3人編成で吉祥寺に向かった。

良太:今日行く『まるけん食堂』は、オレたちが生まれるはるか前にできた定食屋なんだよ。えっと、1960年、昭和35年に創業だ。58年間も愛され続けてきた“昭和レトロ食堂”なんだよ。

:うわ、お母さんより年上だ。そういえば拓哉は何年生まれだっけ?

拓哉:平成20年。

:つい最近じゃん。まだ子どもの拓哉には“昭和レトロ”の味わいはわからないだろうなぁ。

良太:おいおい、オレたちだって平成15年生まれだから変わらないだろ(笑)

:でもなんで、今日はそこなの?

良太:なんと「とんかつ定食」がたった530円で食べられるんだよ。オレたちの昼飯予算600円以内だし、マックやサイゼで食べるより安くて腹いっぱいになりそうだから。

:お、おう。そうだな。

 しかし、ボクには少し懸念があった。今日は後輩を連れて行くのだから、先輩としては“おごる”べきではないだろうかと。そこで、一応、財布の中をチェックしたら1,000円あった……うーん、良太もいるし、なんとかなるだろう。

レトロなメニュー表記にも感激

 というわけで、吉祥寺北口から賑やかな商店街を抜けて徒歩10分ほどで到着。

:吉祥寺の駅前の派手な店とうってかわってずいぶん地味な外観だね。

拓哉:アパートみたい。

良太:レンガ造りだね。昭和35年に建ったとにしたら当時は相当ハイカラな佇まいだったんだと思うよ。

:とにかく入ってみよう。

 入店すると、テーブル席で、大人の男性や女性でほぼ満員だったが、ちょうど食事を終えて出て行く人に入れ替わり、ボクたち3人は一緒のテーブルに座ることができた。

壁にかかっている手書きのメニュー。味がある文字でなんだかほんわかしている
壁にかかっている手書きのメニュー。味がある文字でなんだかほんわかしている

良太:ほら、壁にメニューがあるよ。やっぱり「とんかつ定食」が530円だ!

拓哉:見て!「カッ丼」って書いてある。「ツ」が小さくて面白い!

:本当だ。「カッカレーライス」に「オムレッ」!

拓哉:昔の人はカタカナの「ツ」を小さく書くのが普通なのかな。

:じゃあ、「ハムエツグ」と読むことになるね(笑)

良太:ねえねえ、注文、決まった? オレは「とんかつ定食」にするけど。

:う~ん、どうしようかな。拓哉は?

拓哉:「ハンバーグ定食」がいい!

:それもいいなぁ……

 予想通り、拓哉は“子どもが大好きなメニュー”ハンバーグを選んだ。しかも「とんかつ定食」より50円も高いぞ。ただ、ボクもハンバーグが食べたくて、それにした。ご飯大盛りは50円ということなので、ボクはそれも注文することに。

 ところで、お店を切り盛りしているのは、ボクらのおばあちゃんとおじいちゃんのような年配の2人だ。おばあちゃんの方がテキパキと動いて注文を取り、それを厨房の寡黙そうなおじいちゃんに伝えている。

 おばあちゃんはニコニコしながら僕らの注文を聞いてくれた。その笑顔でボクはこの店を一発で好きになった。