「とんかつ定食」530円の『まるけん食堂』。俺たちに“昭和レトロ食堂”の良さがわかるのか?|食楽中学生日記

定食の重要なポイントを知る

「ハンバーグ定食」580円
「ハンバーグ定食」580円

定食の大事なポイントを知る

 最初にやってきたのはボクと拓哉の「ハンバーグ定食」。大人の手のひらくらいある大判のハンバーグにデミグラスソースがたっぷりかかっている。

良太:うわ、うまそうだね。

:うん、“焼きハンバーグ”っていうのかな。焼いたハンバーグの上にソースがかかってる。焼き目のおかげですごく香ばしいよ。

拓哉:星型のハッシュドポテトが付いてるよ。お子様ランチみたい。

 続いて良太の「とんかつ定食」がやってきた

「とんかつ定食」530円
「とんかつ定食」530円

 揚げたてホヤホヤのとんかつは、食べなくても香りが充満して美味しさが伝わってくる。

良太:きめ細かな衣で、サックサクだよ。豚肉もものすごく柔らかくて、めちゃくちゃ旨い! 食べてみる?

:え~、6切れしかないから悪いよ。

拓哉:ボク食べたい! ポテトと交換して。

 同じ揚げものでも、とんかつとポテトの交換はない。メインとサイドなんだから、価値が違うぞ。と注意しようと思ったが、良太はにっこり笑って、交換してあげている。心が広い。良太は大人だ。

良太:ところで周。この定食、ご飯がすごく美味しいよね。普通の白米ご飯なのに、ツヤツヤ、ふっくらしていて。

:お、確かに。旨いね。みずみずしいっていうか。味噌汁とご飯だけでもバクバク食える。

良太:定食は、おかずも大事だけど、第一にご飯が美味しいことがものすごく大事ってことがわかるね。

大盛りのご飯は50円増し
大盛りのご飯は50円増し

コスパの良い定食と銭湯の代金に困惑

 ボクたちはご飯を1粒残さず完食し、お会計へ。良太は530円、拓哉は580円、ボクはご飯を大盛りにしたので630円。そうそう心配していた“おごるかどうか問題は”は、拓哉が1,000円札をすっと出したので、あっさりクリア! ボクたち3人は店を出た。

良太:それにしても、あんなに旨い定食を600円以内で食べさせてくれるってものすごく親切なお店だよね。

:うん、それに、優しそうなおばあちゃんとおじいちゃんのお陰で、お店の空気ものんびりしていて、昭和レトロなお店ってすごく居心地いいことがわかった。

 その時だ、拓哉の一言でボクは“やばい”ことに気づいた。

拓哉:ねえねえ、それより銭湯は行かないの?

 確か銭湯代は、12歳以上は大人料金で460円する。さっきのお釣りは……

良太:オレ、お釣りの470円があるからギリギリ行ける。

拓哉:小学生は180円だから、ボクは余裕!

:オレ、370円しかない。悪い! 拓哉90円貸してくれ!

 というわけで、結局、小学生の拓哉にお金を借りて、無事に銭湯に行くことができた。

 しかし、中学生は大人なのか? という疑問が残った。だいたい大人の銭湯代が小学生の倍以上というのも納得がいかない。そこで調べてみたら、『まるけん』が創業した昭和35年の都内の銭湯代は大人17円(小学生は13円)だった。なんと約28倍(小学生は約14倍)にもなってるのだ!

 ボクはますます『まるけん』の定食の安さに深い愛を感じてしまったのだった。そしてまた懐の深いレトロ食堂を探して食べに行こうと良太と約束して、日曜のランチは終了した。

(イラスト◎うえむらのぶこ 構成◎土原亜子)

●SHOP INFO

店名:まるけん食堂

住:東京都武蔵野市吉祥寺東町1-6-14
TEL:0422-22-4250
営:11:00~15:00、17:00~21:30
休:日