行列が絶えない味噌ラーメンの味わいは?

12月の某平日、店に着いたのは12時過ぎ。もちろん大行列ができており、数えてみると20人。11時開店なので、やはり開店前に来るのが正解なのかもしれません。ただ、幸いなことにその日は小春日和で、風もなく、並ぶにはもってこいの陽気でした。
列に着くと、すぐにお店の方が出てきて、「いま前の方が食券を買っているので、出てきたら、お客さんも食券を購入してください」と声をかけられました。そこで、前の人が出てきたのと入れ替わりに食券を購入しに行きます。
券売機を見ると、基本の「味噌ラーメン」(950円)の他に「辛味噌ラーメン」(950円)、「担々麺」(990円)。そのラーメンに“味玉入り”や“チャーシュー増量”バージョンもあります。他に「チャーシュー飯」(350円)や「ライス」(150円)といったごはん類もラインナップ。
筆者は「味玉味噌ラーメン」(1100円)をチョイスし、出てきた食券をお店の人に渡しました。このとき、「もやしは増量しますか?」と聞かれます。増量は無料だそうですが、今回は初めてだったので基本の量にすることに。
店内はカウンターのみの10席。ということは、2回転すれば入店できるはず。しかし2回転にいったいどのくらいの時間がかかるのか……やや不安になります。

再び列に戻り、待つこと1時間。いよいよ筆者の番になりました。ただひたすら立っていただけなのに、入店するだけでなぜか達成感が込み上げてきます。案内されたカウンターの席には、「THERMOS(サーモス)」の真空断熱タンブラーに入った冷えたお水が用意されていて、癒やされます。

厨房を見ると、男性スタッフが2人。コンロには中華鍋が2つあり、片方でモヤシを炒め、片方ではスープを温めているようです。

座ってからは、待つことなく数分でお客さんたちに丼ぶりが提供されていきます。私の前にいた若い男性2人組は、一口食べると、お互いに顔を見合わせて「ウンウン」と頷き合い、嬉しそう。
そうこうするうちに、筆者の「味玉味噌ラーメン」も登場しました。

とろりとした味噌スープに、炒めたもやし、挽肉、濃い色のメンマ、そして分厚いチャーシューが2枚。その下には、黄色くて丸みを帯びた極太麺。1時間待った甲斐があるビジュアルです。
いざスープをすすってみると、深いコクと旨味が一気に体に染み渡ってきて、体がのけぞりそうになりました。ダシと味噌が織りなす重層的かつ奥深い味わい。このスープのひと口だけで、手間暇をかけ、さらに独自の工夫をしているであろうことがわかります。

そして、三河屋製麺の麺がまた美味しい。口に入れたときの麺のなめらかさ、噛んだ時の歯ごたえ、そしてスープと絡んで口に残る後味まで、完璧です。

完璧に近いスープと麺に加え、丼の中に少量入っている挽肉や、濃い味付けのメンマなど、脇を固める脇役たちも素晴らしい。特にモヤシの旨さたるや。強火で炒めているので、ほんのり焦げ目もあったりして、これが美味しいことこの上なし。モヤシ、増量すればよかったと後悔。
というわけで、幸せな時間は15分足らず。外に出ると、まだ20人以上の行列です。しかし、これは並ぶ価値がありますよみなさん。なんなら、もう一度、最後尾についても良いと思ってしまうくらいの美味しさでした。
(撮影・文◎土原亜子)