朝活、婚活、ソー活、妊活、終活……前代未聞の活動ブームの陰で、「から活(からあげ食べ歩き)」に余念がない、からあげのプロ=カラアゲニストたちがいることをご存知だろうか。これは、からあげの聖地・大分県中津市出身のライター松本壮平氏がお送りする、渾身のから活レポートである。
衣と肉を一緒に味わえる、風味豊かな日本一のからあげ。
最近、都内各地でからあげのテイクアウト専門店を見かけます。ちょっとしたブームのようです。小さいスペースで営業でき、かつ日本人にとっては“ソウルフード”のような存在のからあげは一定の消費が見込めることから、火が付いたのかもしれません。
『からあげ家 奥州いわい』もそのひとつ。お店の名前のとおり、岩手県に拠点を置き、岩手県銘柄鶏「奥州いわいどり」を使用したからあげのお店で、東京では秋葉原に店舗をかまえています。またここは、2016年の「からあげグランプリ・東日本しょうゆダレ部門」で金賞を受賞した、まさに日本一のからあげのお店。期待に胸をふくらませ、さっそく「いわいもも5個入り420円」を食べてみることに。
「少しお待ちいただければ揚げたてが…」
という店員さんのやさしいお言葉に甘えて、ベンチに座って待つこと5分。アツアツの揚げたてが出てきました。
衣は硬すぎず柔らかすぎず。噛むと口の中でサクッという音をたてます。衣を突破した歯がすぐに肉に突き刺さり、肉汁が口の中になだれ込んできます。ほのかなしょうがの香りが鼻から抜けてゆくのが小気味よく、飲み込んだあともノドのあたりにその風味が残り、余韻を楽しめました。味はわりと濃いめで、しっかりと味付けされています。しょう油の香ばしさがたまらない美味しさです。
そして最大の特長は、噛んでも衣と肉が分離しないこと。ときどき噛んだ瞬間に衣が肉から離れてしまうからあげに遭遇します。衣と肉を別々に食べるなんて、寿司をネタとシャリに分けて食べるようなもの。やはりからあげは、カリッとした衣と柔らかい肉が口の中でうまく交じり合ってこそ、その“持ち味”を発揮するものです。
近くには公園もあります。天気のいい日はベンチに腰を下ろしてこの風味豊かなからあげをじっくり味わうもよし、サブカルチャーの街・秋葉原を散策しながら食べるのもいいかもしれません。
●SHOP INFO
店名:「からあげ家 奥州いわい」
住:東京都台東区浅草橋4-16-5染谷ビル1F
TEL:03-3865-8181
営:営業10:30~19:00(売り切れ次第終了)
休:年末年始休
●著者プロフィール
松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。