田中一明のラーメン官僚主義!【第2回】味噌ぶりnoodleみやみや【多摩市・聖蹟桜ヶ丘】

田中一明のラーメン官僚主義!
数々の実力店で修業を重ねた吉宮店主が、満を持して1軒のラーメン店をオープンさせた。 | 食楽web

現役官僚にして、年間700杯以上を平らげる超・ラーメンフリークとしてその名を轟かす田中一明氏が、東京の最旬ラーメン事情をお届けします!

7種の味噌と動物系スープとの出逢いが結ぶ、力強い味わいに脱帽

昨年5月、陽光うららかな初夏の候、東中野の『みそや林檎堂』、都立家政の『食堂七彩』など、数々の実力店で修業を重ねた吉宮店主が、満を持して1軒のラーメン店をオープンさせた。これが『味噌ぶりnoodleみやみや』だ。

店舗の場所に選んだのは、ジブリ映画「耳をすませば」や人気アニメ「一週間フレンズ。」などの舞台として採り上げられた、聖蹟桜ヶ丘。緑豊かな丘陵に抱かれた街並みは、多摩の原風景と呼ぶにふさわしい。

同店のフラッグシップメニューは「味噌ヌードル」。現在、人気絶頂の真っただ中にある煮干しラーメンや、出せば確実に若者からのニーズが得られる二郎インスパイア系(※1)ではなく、都内でも提供する店舗が比較的少ない味噌ラーメン(※2)を看板メニューに抜擢するあたりが、自身も大のラーメンマニアである吉宮店主らしい。

 青ばた味噌(※3)、倍糀味噌、西京味噌、八丁味噌など、店主が全国津々浦々の味噌から選び抜いた7種類の味噌をブレンド。その味噌に、鶏・豚をじっくりと煮込んだ濃厚白湯出汁を合わせたスープは、重厚かつ拡散力のある立体的な味わい。

動物系素材に由来する骨太なうま味が、濃密な味噌と真っ向からせめぎ合う構成は、出汁の風味が味噌にかき消されてしまいがちな凡百の味噌ラーメンとは、明らかに一線を画すものだ。

「スープだけではなく麺も、ラーメンの主役たるべき」との考えから、麺に対するこだわりようも生半可なものではない。「スープを最大限に活かす麺を」と、首都圏屈指の名門製麺所『村上朝日製麺所』と幾度にもわたる協議を重ねた結果、艶やかな小麦の香りが宙を舞いながらも、味噌の風味をいささかも損なわない渾身の特注麺が誕生。

提供の度にスライスして提供されるローストポークの肉質も抜群。噛み締める度にあふれ出すジューシーな肉汁に、トッピングにも手を抜かない店主の真摯な姿勢が垣間見える。

ローストポークの「赤」、パプリカの「黄」、水菜の「緑」、アーリーレッドの「紫」をバランス良く配し、ともすれば視覚的に寂しくなりがちな味噌ラーメンに彩りを添えている点も、ラーメンマニアである吉宮店主ならではの心憎い配慮だ。

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(※1)二郎インスパイア系とは?

港区三田に本店を構える『ラーメン二郎』に感化・触発(インスパイア)され、同店で提供されるラーメンに似せて作られるラーメンの総称。

【1】強力粉「オーション」を用いた低加水極太麺、【2】豚肉を煮込んだ出汁、【3】モヤシ等で構成される大量の野菜を使用するのが『二郎』の特徴であり、「二郎インスパイア系」を標榜する店舗では通常、これらの特徴をトレースしたラーメンが提供される。なお、『ラーメン二郎三田本店』が創業したのは1968年。都内でも相当な老舗の部類に属するのだが、それは意外と知られていない事実。

(※2)ラーメンシーンにおける味噌ラーメンの立ち位置とは?

味噌ラーメンは、1961年に札幌の『味の三平』が開発したというのが通説。つまり、誕生してから50年余りしか経過しておらず、100年以上の歴史を有する「醤油ラーメン」や「塩ラーメン」と比較すれば、新参だ。

味噌ラーメンのメリットとしてよく挙げられるのは、元々ビビッドなうま味を有する味噌を用いるため、失敗が少ない(味のブレ幅が小さい)ということ。他方、それは、味に個性を付与しにくいことを意味し、自由に味をゼロから創り込んでいきたいと考える店主からは敬遠される傾向にある。

(※3)青ばた味噌とは?

黄大豆をはじめとする他の大豆と比較して甘みが豊かな「青大豆」を原材料とする味噌。青大豆は、北海道、東北のみで生産されており、市場に出回ることはほとんどない。

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●SHOP INFO

味噌ぶりnoodleみやみや

店名:味噌ぶりnoodleみやみや

住:東京都多摩市関戸2-24-23
TEL:090-8143-9588
営:平日11:30~15:00(L.O) 18:00~22:00(L.O) 土日11:30〜17:00※スープ売り切れ次第終了
休:火曜休(祝日の場合は翌日)
味噌ヌードル(780円)、丸鶏中華そば(正油)(680円)、鶏油まぜそば(580円)のほか、坦々風水餃子(300円)、野菜スムージー(100円)などのサイドメニューも豊富に揃う。

●著者プロフィール

田中一明

フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。現在までの通算杯数は8,000杯を超える。