田中一明のラーメン官僚主義!【第15回】ラーメン健やか【三鷹】

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食楽web

実力店で培った経験が見事に花開く!唯一無二の1杯を目指し、日夜大奮闘

「三鷹は名だたるラーメン激戦区ですが、自分が修業で培った経験をフルに活用できれば、得られるものはきっとあると信じて頑張っています」と語る土屋店主。

 本年4月5日に待望の自店を構えるに至るまで、複数の実力店で研鑽を重ねた店主。「最近流行っている『鶏パッツン系』は確かに美味しいが、自分が創るラーメンは自分自身の個性を前面に押し出した1杯にしようと思った。修業するに当たっては、自分だったらどんなラーメンを創るかを常に想像していた」という。

 こうして、店主が最終的に商品化を決意したのが、千葉県船橋市や市川市の地先で獲れる「ホンビノス貝」を主役として抜擢した清湯醤油ラーメン。

 油彩画のように鮮やかな琥珀色を呈したスープは、啜った瞬間、ホンビノス貝(※)のコハク酸が甘露のように口腔を潤す。端正で上品なビジュアルとは裏腹に、流れ込んでくるうま味は極めて濃密。

 何度レンゲを動かしても、その都度、ホンビノス貝の香りが味覚中枢を激しく刺激。中盤以降、スープの素材である鶏ガラと羅臼昆布から大量のグルタミン酸があふれ出し、コハク酸と極上の二重奏を演ずる。

「ホンビノス貝を活かし切るためには、土台として支える別の上質なうま味が必要。このため、鶏ガラの鮮度には徹底的にこだわった」。鶏ガラは鮮度が下がると途端に、うま味の質が低下するという。「どんなことがあっても、24時間以内に獲れたガラを使うよう細心の注意を払ってます」。

 他店では通常、目玉アイテムとして使用されることが多い「トリュフオイル」でさえ、ホンビノスの引き立て役としての役割に徹させる。店主の貝への愛情の深さには、それなりの取材経験がある私でさえ感服するばかりだ。

 このスープに合わせる麺は、オープンから間もない新店でありながら堂々たる自家製。国産小麦のみを用い、薫りと歯切れの良さを同時に実現。実際のボリュームよりも遙かに重厚な存在感を誇示する。

 麺量を尋ねると「実は140gなんです」という答えが返ってきた。どう見ても160gはありそうな雄々しいストレート麺。修業先として麺のクオリティに定評がある実力店を選び続けてきた店主の麺への情熱が、ここに見事に開花した。 

(撮影◎松山勇樹)

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(※)「ホンビノス貝」とは?
ホンビノス貝は、北米大陸東海岸に生息している大型の貝。いわゆる「外来種」であり、北米大陸からの船舶のバラスト水に混ざり、東京湾に運ばれてきたとされる。ハマグリとアサリの中間のような食味と言われるが、個人的には、ややアサリに近い味のではないかといった印象。流通量が多く、比較的安価であるため、貝系ラーメンを提供するに当たりホンビノス貝を使用するラーメン店も多い。

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●SHOP INFO

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店名:ラーメン健やか

住:東京都武蔵野市中町1-28-1
TEL:0422-57-7935
営:11:30~14:30、18:00~21:00(麺・スープ売切れ次第終了)
休:日
メニューは、ラーメン780円、チャーシュー2種ラーメン880円、味玉ラーメン880円、特製ラーメン980円など https://sukoyakaippei.jimdo.com/

●著者プロフィール

田中一明

フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。現在までの通算杯数は8,000杯を超える。