【ベジつまみ 00話】肉と酒をやめたらストレスで死ぬ、と言われたので呑める野菜つまみを探すことにした話

肉と酒をやめたらストレスで死ぬ、と言われたので呑める野菜つまみを探すことにした話
食楽web

働く妙齢男女が直面する「野菜を摂らなきゃ」プレッシャーも何のその。楽しくおいしく、野菜で飲めれば最高! と、酒に合う野菜のおつまみ、通称“ベジつまみ”を提案。外食好き&料理ベタの酒飲み女性ライターが、マクロビ料理家・丸さんの指南を受けつつお届けします。

 ざんぎり頭を叩いて、牛鍋をつつき始めた文明開化からはや150年。こう書くと、思ったより最近である気もする。いまやスーパーに行けば、野菜より肉のほうが安いこともある空前の肉食社会。

 先日、ランチを共にした友人I(40代・男)は、分厚いカツ丼をパクつきながら「昨日の昼メシは牛丼だろ?夜は息子が好きなハンバーグ。で、今夜は会社の後輩と焼肉食べに行く予定。肉だけで生きてるな、俺」と、10年前はペタンコだったお腹をぽっこり揺らしてニタついた。

「そのお腹すごくない? 健康診断で変な数値出てるんじゃないの?」そっけなく言い放った私の言葉にIの顔から30%くらい精気が減った。「わかる? コレステロールやばいんだよね」と水をぐびり。血肉沸き立つ二十代ならよいとして、三十路、四十路にさしかかると、仕事も色恋も、もちろん家族の幸せも「健康」が土台であることに気がつきはじめる。でも、その年頃は、旨い酒と食が楽しい時期でもあるんだな、これが。

「だってさ。肉と酒をやめたら、俺ストレスで死んじゃうかも」

 コイツ、大げさな。そうやって許しを請うように見つめられてもねえ。で、そのとき思った。身体にいいもので、旨く飲めればいいんじゃない? すなわち「酒の肴になる野菜料理はなんぞや」と。

 たいした料理の技量もない私が知恵を絞るより、野菜と酒に詳しい人に聞くのがよかろう、と連絡したのが鉄板焼き料理人でマクロビオテックセラピストの丸さん。若いときに浴びるほど酒を飲んだこともあれば、身体を壊して難病にもなったこともある、さらに女性に生まれて男性として生きる彼の豊富な人生経験を持ってすれば、なにか美味いつまみが出てくるのでは。

「ありますよ、簡単にできる野菜のつまみ。作りましょうか」

 やった!……とのことで次回より、丸さんレシピのベジつまみをご紹介する。野菜=呑むには味気ない、という世の色眼鏡が外せることを願いながら。

●著者プロフィール

写真・文/木内アキ

北海道出身、東京在住。”オンナが楽しく暮らすこと”をテーマに、雑紙や書籍、ウェブなどで人・旅・暮らしにフォーカスした文章を執筆。目標は「きちんとした自由人」。執筆活動の傍ら、夫と共に少数民族の手仕事雑貨を扱うアトリエショップ『ノマディックラフト』を運営中。
HP : http://take-root.jp/