07話【ベジつまみ】ふろふき大根 甘味噌&柚子ソース|出汁のパワーが五臓六腑に染み渡る、という話

働く妙齢男女が直面する「野菜を摂らなきゃ」プレッシャーも何のその。楽しくおいしく、野菜で飲めれば最高! と、酒に合う野菜のおつまみ、通称“ベジつまみ”を提案。外食好き&料理ベタの酒飲み女性ライターが、マクロビ料理家・丸さんの指南を受けつつお届けします。

07話【ベジつまみ】ふろふき大根 甘味噌&柚子ソース|出汁のパワーが五臓六腑に染み渡る、という話

食楽web

 汗ばむ陽気に「春が来た!」とはしゃいでみたと思えば、急に冷えこんで「寒の戻りですねえ」なんて話してみたり。おかげで大人男女の体調は、余談を許さぬ弱りっぷり。身のまわりから聞こえてくるのは、風邪だの疲れが取れないの、さらには花粉症がつらいなんて、まあ湿っぽい言葉なもので。

 せっかくの桜の季節、浴びるように飲んで具合を悪くするのは残念すぎる。それなら、桜の見える友人宅に押しかけて、おいしい日本酒をちびりちびりとやりながら、のんびり旧交を温めるのがいいなあ。

 なんて提案したら、あっという間に日取りが決まった。届くメールの行間から立ちのぼる、疲れてるけど飲みたいし、話したいキモチ。働く男女はがんばっているのだ。

 さて、家主に負担をかけないのも大人のマナー。つまみと酒は当然、各自持ち寄ることになる。デパ地下で買おうかな、との誘惑に負ける前に丸さんに教えを請うてみた。
「前日に、ふろふき大根を煮るとよいですよ。一回冷めると味が染みるから、翌日ちょうどいい具合になっているんじゃないかな」

 甘味噌だれを仕込みさえすれば、後は大根が煮えるまで、コトコトと優しい音を聴きながら本でも読んでいればいい。「ふだんも週末に作り置きしてタッパーに入れておけば、温めるだけなので楽なんです。味噌だれも多めに作っておいて、お豆腐やおひたしにかけてみては」と丸さん。

 そうは聞いても、熱々の出来たてを目の前にひと晩は待てません。試食と名づけたつまみ食い、まずは定番の甘味噌味から。お出汁の旨みがたっぷりしっとり染みた大根に、味噌と大葉がまあよく似合う。シャキシャキしたネギの食感もよい感じ。一方、柚子ソースの芳しい香りといったら深呼吸もの。胡麻のプチプチした食感もたまらない。明日になったら、もっと味が染みているなんて……最高だ!

 箸が止まらなくなるのが恐ろしい。理性をふりしぼって、そろそろタッパーに移さねば。

材料(2人分)

・大根……10cm程度
・大葉……1枚
・昆布……5cm角程度
・干し椎茸……1個
・長ネギ……適量
・万能ねぎ……適量
・柚子の皮……適量

※甘味噌だれ
☆ごま油 大さじ2
☆砂糖 大さじ1
☆味噌 大さじ1
☆水 30cc
・柚子の皮……適量

作り方

1.大根の皮をむき、2つにカットした後、面取りをして角を落としておく。万能ねぎと柚子の皮は、それぞれ千切りにしておく。長ネギは白髪ねぎにする。

2.鍋に大根を入れ、浸るくらいの水と、昆布としいたけを入れ、蓋をして弱火~中火でコトコト1時間くらい煮る。圧力鍋がある場合は、圧力がかかってから中火で15分くらい火にかける。どちらも、いったん冷ましてから再度30分(圧力鍋なら7分)ほど煮ると、よりお出汁の味が染みる。

3.大根を火にかけている間に、甘味噌だれを作る。小鍋に☆印の材料を入れ、焦げないようにゴムべらなどでかき混ぜながら、弱火で煮る。とろとろになったら、半量をボウルに移し、小さめにそぎ切りした柚子の皮を入れてよく混ぜる。

4.【2】に竹串を刺し、柔らかく煮えていたら皿に盛る。ひとつには甘味噌だれをかけ、白髪ねぎ、大葉の順に飾る。もうひとつには柚子ソースをかけ、胡麻、万能ねぎの順に飾り、最後に柚子の皮を乗せて、完成。

●プロフィール

料理監修/丸さん こと 丸山翔

埼玉県出身、東京在住。鉄板焼き料理人、マクロビオテックセラピスト。スケートボードライダーを経て料理修業を開始。自身の店を開店後、現在は野菜や自然食を得意とする半農料理人として出張居酒屋などのイベントも開催。トランスセクシャルとしてLGBTのサポート活動も行う。
HP: http://okonomimaru-sk8.wixsite.com/marusuke-kitchen

写真・文/木内アキ

北海道出身、東京在住。”オンナが楽しく暮らすこと”をテーマに、雑紙や書籍、ウェブなどで人・旅・暮らしにフォーカスした文章を執筆。好きなつまみは氷頭。目標は「きちんとした自由人」。執筆活動の傍ら、夫と共に少数民族の手仕事雑貨を扱うアトリエショップ『ノマディックラフト』を運営中。
HP: http://take-root.jp/