不思議なお菓子「シベリア」

ここで、少し「シベリア」の歴史についてご紹介しましょう。
とはいっても「シベリア」は、ルーツをたどっても謎が多いお菓子なんです。まず、ナポリタンやトルコライスと同じように、ロシアのシベリア地方のお菓子ではありません。あんこが入っているのでどうやら日本独自のものらしいのですが、いつ、どこで生まれたのかも、誰が作ったのかも、どうしてその名前になったのかも全く不明。また、今でも洋菓子、和菓子のどちらにも分類されていないのです。
ただ、明治後半から大正初期頃には食べられていたようで、昭和初期には「子どもたちが食べたいお菓子No.1」だったという記録が残るのみ。

ではなぜ、今、このシベリアが巣鴨で大人気になっているのでしょうか? 「シベリアロール」を考案した『とげぬき福寿庵』総支配人・土井征哉さんにお話を聞いてみました。
「実は私、シベリアの魅力に惹かれて、日本全国のシベリアを食べ歩いていたんです。カステラ×あんこという日本人が大好きな組み合わせですから、各店、それぞれに美味しいのですが、現代人にとっては少し甘すぎるうえ、食感も少し硬めだと思いました。今では売っているところも少なくなってきているので、このシベリア文化を残すために、現代版を作ったらどうかな、と思ったんです」(土井さん、以下同)
そこで、シベリアを改良すべく、まずは食感をやわらかく、甘さを控えめにすることに取り組んだそうです。カステラ部分にはメレンゲを加えて食感がふわふわのスポンジケーキに、また羊羹の部分は、口の中でとろけるようなクリーム状のあんこを詰め、ロールケーキ型にしたんだそう。
「食感を柔らかくすることで、新しい食べ方も提案することができました。冷やしてアイスクリームを載せたり、温めてバターを載せたり。食べ歩きにもちょうど良いということで、TVにも紹介されて、おかげさまで人気になったんです」

昔ながらのシベリアを知っている人も、知らない人も、進化版「シベリアロール」には感激すること間違いなしです。とくに今の季節は、アイスクリーム載せで「シベリアロール」を体験してみてください。みずみずしいあんこと冷たいアイスが相性バッチリです。ちなみに「シベリアロール」は通販でも買うことができますので、ぜひお試しを。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:とげぬき福寿庵
住:東京都豊島区巣鴨4-26-3
TEL:03-5961-038
営:10:00~18:00
休:不定休
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