150~160℃の油で揚げるサクサク食感が美味!『いもふらい 大しま』
次もやはり地元の人たちからの支持が厚いという『いもふらい 大しま』にお邪魔しました。先ほどの『坂本商店』の周辺は田んぼでしたが、『いもふらい 大しま』の周辺は完全なる住宅街で、やはり商店が極めて少ないエリアに突然お店が現れます。しかし、そのお店のたたずまいが実に素敵で、こちらもまたローカル感プンプンの良い雰囲気です。
『いもふらい 大しま』のおかみさんもまた親切な方で、佐野の「いもフライ」の歴史などを丁寧に教えてくれました。同店の「いもフライ」は“150~160℃で丁寧に揚げるのがこだわり”とのこと。実際にいただくと、衣のサクサクした感じとじゃがいもの柔らかさが絶妙な食感で、どこか懐かしい優しい味わいとなっています。おかみさんによれば「ずっと1本70円で販売してきたけど、原料の高騰で10円価格を上げ、80円にしなくてはいけなくなったことが心苦しい」とのことでした。いやいや、80円でも十分安いと思います。
●SHOP INFO
店名:いもふらい 大しま
住:栃木県佐野市関川町822-1
TEL:0283-24-2043
営:10:30~18:00
休:月曜、火曜、第4日
「いもフライ」の可能性をどこまでも広げる名店!『農家直営いもフライ&やきそば ぽっぽや』
そして最後に向かったのが『農家直営いもフライ&やきそば ぽっぽや』というお店。佐野の中心部にある憩いのスポット・とみあさ公園の目の前にあるお店で、取材時も公園で遊んでいる子どもたちが「いもフライ」を買いに来たりと、なかなか良い雰囲気でした。
『農家直営いもフライ&やきそば ぽっぽや』は、デフォルトの「いもフライ」のほか、ほのかな辛味のある「大人いもフライ」や「のり塩いもフライ」といったアレンジメニューもあります。お店の方によれば「他にない味をご提供できるよう努めています」とのことで、地元に根付いた「いもフライ」の可能性をさらに広げようとしていることが伝わってきます。
ここでデフォルトの「いもフライ」と「大人いもフライ」をオーダー。「いもフライ」は軽い口当たりで胃もたれせず、新鮮な油が使われていることがよくわかります。また、「大人いもフライ」はほのかな辛味のあるスパイシーなソースが付けられており、ピリッとしたクセになる味わいでした。
●SHOP INFO
店名:農家直営いもフライ&やきそば ぽっぽや
住:栃木県佐野市富岡町1305
TEL:0283-21-3677
営:11:00~13:00、16:00~18:30、土曜、日曜、祝日11:00~17:00
休:火曜
・・・・・・・・
もともと佐野の「いもフライ」の歴史は古く、もともとは終戦直後の食糧難だった時期に、お米の代わりにじゃがいもを食べる機会があり、そこから派生して作られたものだったそうです。さらに、佐野の地場産業である繊維業の女工さんたちが手を休めることなく、食べられるよう串に差して食べるものが定着したという話も各店で聞きました。
また、この前後、地元の古い世代では有名な「蝶野さん」という方が、リアカーを引きながら「いもフライ」を売り歩き、それが徐々に地元に根付いていったという話もあります。“和製フライドポテト”とも言うべき、佐野の「いもフライ」には、佐野という地域の特性と歴史が詰まった一品というわけです。佐野に行かれる機会がある方はぜひ食べてみてはいかがでしょうか。地元以外の人にとっても、どこか懐かしくほっこりとした気持ちになる味ばかりですよ!
(撮影・文◎松田義人)