東京・杉並にある古酒・熟成酒専門店「いにしえ酒店」の店主が、今注目すべき日本酒、古酒・醸造酒を紹介するとともに、その美味しさの秘訣を探求、蔵元を訪ねます。
最近、国内外を問わず、とろみのある甘口が特徴の日本酒“貴醸酒”の人気が高まっています。そして貴醸酒といえば広島県呉市にある「榎酒造」、そして「榎酒造」といえば貴醸酒「華鳩(はなはと)」と言われるくらい、貴醸酒を代表するブランドです。
その「華鳩(はなはと)」にも色々な種類があるのでまずはご紹介しましょう。
貴醸酒の生にごり

濾過の量や静置する時間を調整しながらその年のベストな味わいを引き出すよう瓶詰されています。同じ商品でもその年その年の味わいの違いを楽しめるのが生酒の特徴で、平成28年の作りは少し発泡感のある元気な味わいでしたが、平成29年は発泡感が抑えられ、穏やかで丸い口当たりに仕上がっています。生酒らしい華やかな香りもあり、ついつい飲みすぎてしまう危険な一本。
爽やかな貴醸酒

白麹(※)を使うことでクエン酸が生成されます。それにより、しっかりとした甘みと爽やかな酸味が調和し優しい味わいのお酒になります。また、ほんのりメロンのような果実香がするのも特徴的です。
※ちなみに日本酒は黄麹菌を使って醸造することが多い
香ばしい貴醸酒

オーク樽で熟成させた「オーク樽貯蔵」の貴醸酒。樽は国内の酒造メーカーが焼酎の熟成に使っていたものを譲り受けたそうです。オークの香ばしい香りと淡い苦味はビターチョコレートとよく合います。冷やすことでビター感がより引き締まり、温度と料理とのペアリングによって幅広い楽しみ方ができるのが特徴です。