
主人:そもそも、でかい鶏肉を揚げて、柔らかくジューシーに仕上げるというだけでも難しいんだ。
ユースケ:わかってますって。前に油淋鶏作ったときのように、肉をフォークでぶすぶす刺すんですよね。
主人:いや、今日はこの「テンダライザー」を使おう。
ユースケ:なんすか、それ?
主人:「テンダライザー」は針状の刃が多数並んでいる調理器具だ。コレを肉に当てて、ガシンガシンと押すだけで肉のスジを繊細に切ルことができるんで、でかい肉でも柔らかく仕上げられる。
ユースケ:やらせてください!

主人:次は、山賊焼の下味の漬けダレを作るぞ。決め手は衣にも伝わるくらいの強烈なニンニク醤油だれだ。ニンニクを手でしっかりすりおろして、醤油や他の調味料(みりん、酒、生姜、胡椒、ガラスープの素、片栗粉)と合わせ、鶏肉を投入してから1時間以上は漬け込んでなじませよう。
ユースケ:すごいニンニク臭ですね。

ユースケ:衣はどうしましょうか?
主人:ここが肝心だ。
ユースケ:カリッ、サクッ、ホロッですね。
主人:カリッとさせてくれるのは小麦粉(薄力粉)。そしてサクッ&ホロッとした食感を生むのが片栗粉。つまり、ダブル使いがいい。
ユースケ:なるほど。
主人:カリッとサクッの割合は小麦粉と片栗粉の割合で調節ができる。ただ、今回は、どちらも強調したいので、半々で使おう。そして、ここがポイントだ。よりニンニク醤油の香ばしさを強調したいので、細かいパン粉をほんの少し粉に混ぜておく。こうすると、より、ボリューミーで、香り高い山賊揚げに仕上がるって算段だ。
ユースケ:すごい裏技ですね!
主人:さ、揚げていくぞ。肉がでかいので、まずは160度に熱した油でじっくり5~6分。そのあと、取り出して油を180度まで揚げて、1~2分でカリサクに仕上げていく。

ユースケ:うわ~、衣がついてさらにでっかくワイルドになりましたね。
主人:テンダライザーのおかげで、肉が柔らかくジューシーになっているはずだ。味見していいぞ。
ユースケ:店長~!カリサクホロ感がすごいっす。
主人:衣を制するものは、揚げ物を制すると言っても過言じゃない。
ユースケ:次はとんかつですかね。しかし、最近、揚げ物ばかり食ってるから、俺も店長みたいに舌も体も肥えそうです。
主人:揚げ物はカラッと揚げたら太らないって誰か言ってたぞ。
ユースケ:それ、完全に妄想っす。
●妄想食堂の「山賊焼き」のレシピ
鳥もも肉2枚/下味(醤油3・みりん1・酒2・生姜2・ニンニク5片・胡椒適量・ガラスープの素大さじ1・片栗粉大さじ1)/衣用の粉(小麦粉と片栗粉5:5の割合、細かいパン粉を少々)
●プロフィール

尾仲好太(おなか・すいた)
『妄想食堂』の主人。知人からは超人の味覚、嗅覚、そして胃袋を持つと噂の一般人。旨い料理を食べる、作ることに日夜、妄想を抱き、実際に店を食べ歩き、家で再現する日々を送る。得意料理は、肉料理。