私の勝手な妄想からオープンした『妄想食堂』。料理人でも料理研究家でもない私、尾仲好太が、これまで食べ歩いた店の味の中で「これが一番旨い」と思う“味の再現”を目指し、今日もバイトのユースケと開店前の準備中です。
もちもち麺のパンチョのスパゲティー
主人:今日は、ミートソースを作ろうと思ってるんだ。今回、俺が目指したいのは、昔お袋が作ってくれた味なんだ。
ユースケ:なるほど。それは店長にしかわからないっすよね。
主人:そこで、イメージしやすいのは、『スバゲティーのパンチョ』の味なんだな。
ユースケ:あ、そこ聞いたことあります。B級グルメ好きが愛してやまないデカ盛りの店。しかも喫茶店にあるようなナポリタンやミートソースを出す店ですよね。ケチャップ味の。
主人:う~ん、違うんだ。パンチョの味は単純なケチャップ味でもなければ、そのへんの喫茶店にあるような味でもないんだよ。
ユースケ:へ?
主人:確かにケチャップ味が強めだが、きちんとオリジナルのトマトソースを作ってるんだ。酸味が強すぎず、かといって甘すぎず。麺がやわやわで、ソースがねっとりと絡む。今回、そのパンチョを見習いつつも、お袋のミートソースの優しい味を作りたいんだ。……うーん、思い出すなぁ。
ユースケ:うわ、思い出に浸っちゃってる。いいから、早く作りましょうよ。