【三重グルメ】伊賀上野城のお膝元にある「お菓子街道」で買うべき可愛くておいしい和菓子たち

忍者の携帯食が原型! 鎌田製菓の「かたやき」

かたやき(3枚入り150円、10枚入り350円)ゴマと海苔2つの味がある
かたやき(3枚入り150円、10枚入り350円)ゴマと海苔2つの味がある

 伊賀といえば「忍者の里」。伊賀の銘菓「かたやき」は忍者の携帯食が原型とされ、さまざまなお店で作られています。今回は駅から徒歩5分の場所にある『鎌田製菓』の製造直売所へ。

 鎌田製菓の「かたやき」は、小麦粉にすりおろした山芋と砂糖を加えた生地を一晩寝かせ、店内で一枚一枚丁寧に焼いた一品。

鎌田製菓の製造直売所
鎌田製菓の製造直売所

 日持ちするのでおみやげに最適。ただし、時間が経つとその名の通り容赦なく固くなるので、細かく砕いて食べることをオススメします。ビスコッティのようにお茶やコーヒーに浸して食べるのも◎。

 ただし、現地で買える焼きたては柔らかく、時間が経つにつれ固くなっていくので、タイミングよくお店を訪れたときはここでしか味わえない“柔らかいかたやき”を味わってみて。

●SHOP INFO
鎌田製菓

住:伊賀市上野丸之内8-31
TEL:0595-21-1345
営:8:00~12:00 、 14:30~17:00
休:不定休

人の良い忍者に癒やされる「鬼屋敷 忍者最中」

鬼屋敷 忍者最中(115円)
鬼屋敷 忍者最中(115円)

 伊賀上野のまちで130年余り続く老舗『御菓子司 おおにし』。丁寧に炊かれた粒あんをたっぷり詰めた「鬼屋敷 忍者最中」が人気。“忍者”と“くノ一”の2つのパッケージがありますが、中身はどちらも同じです。

『御菓子司 おおにし』の外観
『御菓子司 おおにし』の外観

 なんとも人の良さそうな忍者とくノ一のイラストのパッケージが愛らしい。最中の形は1種類ですが、裏表が違うところもポイント。キョトンとした表情も◎。

ひょろつき鬼最中(130円)
ひょろつき鬼最中(130円)

 また、『御菓子司 おおにし』では毎年10月に行われる関西三大祭りの1つ「上野天神祭」の時期には、鬼行列の「ひょろつき鬼」をモチーフにした「ひょろつき鬼最中」も登場します。

 いずれの最中も甘さ控えめ、粒がしっかりしていて豆の食感も絶妙です。皮と餡のバランスもよく、飽きが来なくて毎日食べたくなるほどのおいしさです。

●SHOP INFO
御菓子司 おおにし

住:三重県伊賀市上野中町3009-1
TEL:0595-21-1440
営:9:00〜18:00
休:不定休
https://www.igaueno.net/?kaiin=493

みずみずしくてほっこり。湖月堂の「栗入り丁稚ようかん」

栗入りでっち羊羹(600円)
栗入りでっち羊羹(600円)

 明治時代より百数十年続く『湖月堂』。看板商品は「でっち羊羹」なのですが、取材時の昼過ぎに訪れた時には早くも売り切れていたため、ちょっぴりリッチな「栗入りでっち羊羹」を購入しました。

『湖月堂』は、城下町の雰囲気にぴたりとマッチした店構え
『湖月堂』は、城下町の雰囲気にぴたりとマッチした店構え

 湖月堂のでっち羊羹は、吉野葛や黒糖を使用した甘さ控えめの上品な味わい。つるりとした喉越しと黒糖の風味が特徴で、地元の人からも好評を得ています。

大きな栗がごろごろ
大きな栗がごろごろ

 今回、購入した「栗入りでっち羊羹」は、水羊羹を彷彿させるみずみずしい食感の羊羹にゴロリと栗が入っています。食後でもペロッとたいらげてしまえるほどサッパリしたおいしさです。

きなこ餅などの餅菓子も作りたて
きなこ餅などの餅菓子も作りたて

 それに加え、訪店した時にちょうど「柚子まん」(200円)が蒸かし上がり、まだ温かさが残っている状態で店頭に並んでいたので、こちらも迷わず購入。

 ほんのりとしたゆずの香りと優しい甘みの餡が入ったお饅頭は、ふわふわ食感の皮の口溶けが最高。帰りの列車の中で食べるおやつにもオススメです。

●SHOP INFO
湖月堂

住:三重県伊賀市上野中町3028
TEL:0595-21-0880
営:9:00〜18:00
休:木

桔梗屋織居のユニークな大福は唯一無二

 伊賀の城下町本町通りにある『桔梗屋織居』は、江戸期に藤堂藩御用商人としてお城に出入りしていた老舗菓子舗。以来、令和の今も伊賀の風土を生かしたお菓子をつくり続けています。

 店内には、伊賀上野城や忍者をモチーフにしたお菓子のほか、創意工夫を凝らしたオリジナルの和菓子や洋菓子がずらりと並んでいます。

「吟酔」(3個1296円)
「吟酔」(3個1296円)

 そんな桔梗屋織居のお菓子でまずご紹介したいのが、伊賀のお酒を使用した大福「吟酔」。餅米の代わりにうるち米で作った大福は、こし餡と生地がとろりと混ざり合う独特の食感が魅力。

 生地に水を使用せず、銘醸地伊賀で育まれた地酒「半蔵」(大田酒造)、「義左衛門」(若戎酒造)、「るみ子の酒」(森喜酒造場)の3種の日本酒を使用しているのが特徴です。

これはもう「食べる日本酒、酔う和菓子」だ!
これはもう「食べる日本酒、酔う和菓子」だ!

 1個あたりぐい吞みの半分約18ccの日本酒を使用。熱を加えずにアルコール成分や風味を損なうことなく作られているので、まるで日本酒を飲んでいるかのような味わい。1個食べるとお腹がポカポカと温かくなり、3つ食べるといい気分になってきます(笑)
 
 甘いものもお酒も好きな両党の心をワシ掴みにする和菓子ですが、お酒を飲むのと同じように酔いますので、車の運転前やお酒の弱い人は気をつけて。

おかゆ大福(610円)。見た目は普通の大福
おかゆ大福(610円)。見た目は普通の大福

 店内で商品選びをしていると、ネットで見かけて、その存在だけは知っていた「おかゆ大福」(610円)を発見。現在、注文が集中しすぎて発送に時間がかかっているほど人気らしいですが、店舗であれば購入できる様子。

 おかゆで大福……? 謎の和菓子だと思っていましたが、見た目はいたって普通の大福にしか見えません。

断面を見ても普通の大福。でも食べてみると……?
断面を見ても普通の大福。でも食べてみると……?

 実際に食べてみると、粘り気がないので咀嚼が要らず、舌と上顎ですり潰すようにして食べられました。その理由は、もち米ではなくうるち米を使っているから。

 餅の部分がお粥のような口どけで、喉に詰まることもないため、嚥下食(えんげしょく)として年齢関係なく楽しめる大福になっているのです。サラッとした喉越しは介護食にもピッタリですね。

 ちなみにお腹の調子を整える「ヤクルト入りおかゆ大福」もありますので、公式サイトのお取り寄せをチェックしてみてください。

●SHOP INFO
桔梗屋織居

住:三重県伊賀市上野東町2949
TEL:0595-21-0123
営:9:00〜18:00
休:第3火曜日

300年続く老舗・紅梅屋の「梅ヶ枝餅」

 上野天神宮のそばにある『紅梅屋』は、江戸中期の1712年に創業した歴史あるお店です。赤い梅のマークが目印です。

 店内には季節の生菓子や琥珀糖などカラフルで可愛らしいお菓子の他に、「かたやき」や「兵粮丸」など忍者菓子もラインナップ。

 今回、購入したのは、梅餡を道明寺で包み、白いそぼろと刻んだ梅羊羹をトッピングした「梅が餅」(1000円)は、口の中に入れると、ほのかな酸味と爽やかな梅の香りが広がるのが特徴。

 梅餡のほか、ゆずや桜、若菜など四季折々の味が楽しめるので、訪れるたびにいろんなフレーバーと出会えるのも嬉しいところです。

赤飯まんじゅう白梅(560円)
赤飯まんじゅう白梅(560円)

 紅梅屋でもう一つ買ったのが「赤飯まんじゅう白梅」(560円)。入学式や誕生日などのハレの日に食べられているお菓子です。コロンとした白梅の花のような見た目から「白梅」と名付けられています。

 ほんのり甘い生地の中に、お店自慢の赤飯を詰めたお饅頭は、ほんのりとした塩味とトッピングの甘い栗がマッチ。

 あんこは入っておらず、お菓子というより軽食っぽい感じでもあるので、小腹が減った時のおやつにも良いかも。その他に、紅梅最中やかりんとう饅頭など店舗限定の和菓子にも注目してみてください。

●SHOP INFO
紅梅屋

住:三重県伊賀市上野東町2936
TEL:0595-21-0028
営:9:00〜18:00
休:水曜

いせやの伝統菓子「でっちようかん」と「おしもん」

でっちようかん(大 720円)
でっちようかん(大 720円)

 「でっちようかん」、「おしもん」といった伊賀の伝統の和菓子が有名な『いせや』。地元で“お天神さん”として親しまれている菅原神社(伊賀市上野東町)の裏向いにある老舗菓子舗です。

いせやの外観
いせやの外観

 昔と変わらず手作りされている「でっちようかん」(大 720円)は、自家製餡の風味をそのまま閉じ込め、やわらかいながらもほどよい歯切れが心地よく、すっきりとした味わいが特徴。

 サイズは「小」と「大」がありますが、お土産にするなら真空包装された「小」がオススメ。「大」は日持ちしないので、自宅用にしましょう。

 また、いせやのもう一つの名物が伝統菓子の「おしもん」です。おしもんとは、鯛や海老など縁起の良いものを象ったお菓子。伊賀は昔は他エリアからの交通の便が悪く、新鮮な海産物は高嶺の花。そこで、鯛などの木型で作ったお菓子・おしもんが作られるようになったそうです。

左下が「千代結び」(200円)、右が「ちい鯛おしもん」(250円)
左下が「千代結び」(200円)、右が「ちい鯛おしもん」(250円)

 香り高い寒梅粉と砂糖を揉み合わせ、餡を入れて色鮮やかに型打ちし、寝かせて仕上げる伝統菓子。餡と寒梅粉の風味を味わう、伊賀地方伝統の銘菓です。サイズは「ちい鯛おしもん」の他に、「中鯛おしもん」、「大鯛おしもん」があります。

 「千代結び」は伝統的工芸品である伊賀組紐にちなんだ、幸せを呼ぶ縁起の良いお菓子。主にご祝儀などに贈ったり贈られたりします。「千代結び」はお手頃なサイズなのでお茶菓子に最適です。

●SHOP INFO
いせや

住:三重県伊賀市上野新町2755-2
TEL:0120-16-4547
営:8:30〜18:00
休:火曜

まとめ

 今回は、三重県の伊賀市上野の「城下町お菓子街道」で見つけた和菓子を紹介してきましたが、観光客の集まるエリアから少し外れたところにも隠れた和菓子の名店がたくさんあります。

 みなさんもぜひ、関西本線に乗って美味しい和菓子探しの旅に出かけてみてくださいね!

●著者プロフィール

牡丹餅あんこ
フリーライター・編集。グルメ誌、旅行誌、女性誌、Webの取材、撮影、執筆、編集、イラストを担当。さまざまな土地のお土産やご当地グルメを歩いて探すのが好き。