精米仕立てのお米をかまどで炊いた絶品おにぎり!『伊藤精米店』(中野区沼袋)

最初は、中野区沼袋にある『伊藤精米店』のおにぎりをいただきます。昔ながらの風情を感じる町・沼袋で73年の歴史を持つ老舗精米店です。時代の変化やニーズに柔軟に対応し続けてきたお店で、店構えもどこかモダンな印象です。
お店の中に入ると、自慢のおにぎりがズラリと並んでいます。筆者が訪れた際は少々行列ができており購入まで少し待つことに。やっと筆者の番が来ると、店頭の女性が「お待たせして申し訳ありません」と丁寧に応対してくれて、好感を抱きました。ここで筆者は定番の「ツナ」、「こぶ」、「シャケ」をオーダー。テイクアウトすることにしました。

いずれのおにぎりもお米がツヤツヤ。米粒が綺麗に立っており、こだわりを感じます。「ツナ」は、程よい塩加減で見た目よりもあっさり。お米の風味を殺さない最大限の塩味になっているように思いました。一方、「こぶ」は、しっかりとした味付けで、これもまたお米の美味しさを強く感じる味わい。「シャケ」は、白ゴマなどと一緒にお米に和えられたもので、どことなくオシャレな印象ですが、味は極めて普遍的で美味。こちらもまたお米の美味しさが口いっぱいに広がりました。
聞けば『伊藤精米店』のおにぎりは、精米仕立てのお米をかまどでしっかり炊き上げて、にぎっているようで、調理にもかなりのこだわりがあるのだろうと感じました。まさに優等生的なおにぎり。専門店にも全くヒケを取らない味わいに脱帽です。
紀州産備長炭で炊いたお米が自慢のおにぎり!『飯塚精米店』(学芸大学)

続いては、学芸大学にある『飯塚精米店』のおにぎりをいただきます。公式サイトには「小さな米屋です」と謙虚に紹介していますが、その実力は食のプロをも唸らせ、過去には「お米屋さん全国コンクール」で農林水産省賞を受賞。さらにメディア界隈でもファンが多くおり、雑誌のグルメ特集などでもたびたび紹介されてきた名店です。
聞けば、紀州産備長炭を入れお米を炊いているとのことで、遠赤外線効果でふっくら仕上がるそうです。これはいただく前からテンションが上がります。ここで筆者は定番の「たらこ」、「さけ」、「こぶ」をテイクアウトしました。

かわいい包み紙を開けると、コロコロとしたおにぎりが登場。丸めのおにぎりですが、写真の通りお米の一粒一粒が立ちまとまっているのがわかります。いずれの具材も細かく刻まれていますが、これはおそらく口にする際に、お米との一体感を味わってほしいというお店の配慮なのではないかと思います。
「たらこ」は、豊かな旨みを感じることができ、「さけ」も絶妙な塩加減、「こぶ」もあっさり目で美味しいです。いずれも「精米店のおにぎり」としての矜持を強く感じる美味しいおにぎりでした。
山形&長野産のお米を使った100年おにぎり!『三田精米店』(桜新町)

最後は、桜新町駅を出て、駅前の通りを246方面へしばし歩いた右側にある『三田精米店』のおにぎりをいただきます。創業は1917年。麻布で精米店として開業し、後に桜新町に移ったのだそうです。現在の主人は4代目で、お米マイスターやごはんソムリエの資格を有し、様々な知見のもとで絶品のおにぎりを握っています。
営業時間は7時~19時までですが、おにぎりは、昼過ぎには売り切れてしまうほどの人気で、実は筆者、一度目は購入できず2度目にようやく買うことができました。ここで筆者は「ツナ」、「鮭」、「昆布」をオーダーしました。

いずれのおにぎりも丸くて大きめ。テイクアウトした後は海苔がしっとりご飯にまとわりつき、とても良い感じです。おにぎりの中を割りつつ見てみると、今回食べ比べた3店の中では具材が最も多く、味だけでなく食べ応えも高めな印象です。
肝心の味も絶品。「ツナ」や「鮭」は、やや強めの塩加減と、お米の糖分のバランスがバッチリでバクバクいただきました。また、しっかり煮詰められた「昆布」も絶品で、十分なパンチを楽しむことができました。山形産・長野産双方のお米を使っておにぎりにしているそうで、美味しさとパンチ双方を気取らずに楽しめる点がすごく良いと思いました。100年以上の歴史を持つ『三田精米店』のおにぎりは、まさに「100年おにぎり」と言いたくなるほどの味わいでした。
まとめ
ここまで東京でおにぎりを販売する精米店3店を食べ比べましたが、いずれも特徴や個性は違えど絶品揃いでした。「お米のプロ」の知見が強く反映されていることと、ある意味では「精米店の看板」として評価されることもあるおにぎりなので、美味しくないはずがないことを改めて実感。今回紹介した3店はどこもオススメですが、お住まいの地域にもおにぎりを出す精米店があったらぜひ行ってみてください。専門店に負けない、美味しいおにぎりをいただけるはずです。
(取材・文◎松田義人(deco))