伝説の老舗バー『ブリック』が中野に復活! 昭和レトロな店内で280円のトリスと絶品つまみを味わってきた

中野の老舗バー『ブリック』が復活! 昭和レトロな店内で280円のトリスと絶品つまみを味わってきた
JR中野駅北口近くにある老舗バー『ブリック』 | 食楽web

 コロナ禍も今年で足掛け3年。この間にたくさんの飲食店が閉店しました。今回ご紹介する東京のJR中野駅からほど近い『NAKANOブリック』もその1つ。創業は1964(昭和39)年。中野のランドマークともいえる老舗バーとして、長きにわたり愛されてきました。

 しかし2年前の2020年5月、休業からそのまま閉店。中野周辺の呑兵衛にとってはかなりショッキングな出来事です。かくいう筆者もそのひとり。何しろ中野でハシゴ酒の〆といえばブリックと決まっていたからです。

『ブリック』が創業した昭和39年当時は、サントリーのトリスウィスキーを使ったハイボールを提供する「トリスバー」が大流行。『ブリック』もそうした時代背景のなかで生まれた一軒です。昭和、平成、令和を通し、1杯200~300円前後のお酒を提供し続け、いつでも誰でも気軽に入れるバーとして君臨し続けていました。

ノスタルジックな安らぎのバー『ブリック』
ノスタルジックな安らぎのバー『ブリック』

 というわけで、ブリックに明かりが灯らなくなった2年前から筆者はすっかり “ブリック・ロス”になり、もはや中野に飲みに行くことすら億劫になっていました。

 しかし昨年(2022年)の暮れ、中野の飲み友達から「ブリックが再開しているらしい」という朗報がもたらされました! 思わず小躍りしつつ、数日後に2人で『ブリック』に向かったのです。

昭和レトロ感満載のブリックらしさは健在!

夕方18時を過ぎると仕事帰りのお客さんで満席です
夕方18時を過ぎると仕事帰りのお客さんで満席です

『ブリック』の扉を開けると、まさに昔の雰囲気のままでした。内装もほぼ変わらず、古めかしい木目の壁と暖色のランプが温かい。こぢんまりとしたカウンターは満席、そしてソファー席も賑わっています。そして、以前もそうでしたが、『ブリック』で飲んでいる人たちは、なぜかとっても元気で楽しそうに見えるんです。

カウンターに加え、テーブル席も。こぢんまりした椅子に身も心もしっくり馴染む
カウンターに加え、テーブル席も。こぢんまりした椅子に身も心もしっくり馴染む

 メニューを見ると、相変わらずアルコール類がめちゃくちゃ安い! いま世の中のあらゆるものが軒並み値上げする中、ここは、ビール380円~、サワー各種も300円~、そしてトリスは280円。あの「山崎」や「白州」だって780円で飲めるんですよ! ウイスキーバーだった昔に比べ、圧倒的に飲めるお酒の種類が増えています。

『ブリック』のドリンクメニュー。良心的な価格です。ほかに黒板にもメニューにないウイスキーが書いてあり、どれもストレート、ロックなど飲み方も自由
『ブリック』のドリンクメニュー。良心的な価格です。ほかに黒板にもメニューにないウイスキーが書いてあり、どれもストレート、ロックなど飲み方も自由

 そして、つまみも200円~と実にリーズナブル。ポテサラ、ハムカツ、ハムエッグ、クリームコロッケに、揚げたこ焼き、レーズンバターなど、子供も大人も大好きなものばかり。筆者はハシゴ酒の〆に来ることがほとんどだったので、以前はつまみをほとんど食べなかったのですが、今回は、“新生ブリック始動”のお祝いにいっぱい食べてきました!

ハムエッグにハムカツも。トリハイに合うおつまみの充実っぷりがすごい!

手前から、ハムカツ200円、ハムエッグ350円、トリスハイ280円
手前から、ハムカツ200円、ハムエッグ350円、トリスハイ280円

 まず、「ハムエッグ」(200円)。「朝ごはん」のイメージが強いハムエッグですが、ブリックで食べると、ものすごくお酒に合うつまみだということに気づきます。

『ブリック』の「ハムエッグ」350円はウィスキーにもぴったりのつまみ
『ブリック』の「ハムエッグ」350円はウィスキーにもぴったりのつまみ

 目玉焼きの裏にはハムがくっついていて、白身はぷるぷる、黄身は半熟とろ~り。この絶妙な焼き加減、最高です。口の中で、黄身のまろやかさやハムの旨味、コショウのピリ辛さが交錯してお酒が進みます。

「目玉焼き」にはケチャップとマヨネーズがついてきます。上にはコショウがかかっています
「目玉焼き」にはケチャップとマヨネーズがついてきます。上にはコショウがかかっています

 続いてオススメしたいのは「ハムカツ」。ハムカツは人によって、ハムが薄いタイプが好きな人、ぶ厚いタイプが好きな人に分かれると思いますが、ここのはその中間の約1センチ弱。そこにカリッカリの衣。

「ハムカツ」200円。マヨネーズとケチャップ、ソースがついてきます
「ハムカツ」200円。マヨネーズとケチャップ、ソースがついてきます

 揚げたてなので、かじるとアツアツ&サックサク。ウスターソースやマヨネーズ、ケチャップで、自分好みに味変して食べます。とんかつでもメンチカツでもない、この懐かしい美味しさがたまりませんね。

 そのほか、「ポテトフライ」(300円)、「ポテサラ」(350円)、「もつ煮込み」(450円)、「ちくわ揚げ」(250円)、「チーズの味噌漬け」(400円)、「生チョコ」(450円)、焼き鳥各種(1本100円~)など、ビール、日本酒、サワー、ウィスキーなど何を飲んでも、“欲しい”つまみがちゃんとあるんです。

 最後に、店員さんに聞いたところ、大人気なのが「イカ丸焼き」(650円)とのことで、これも食べてみました。

「イカ丸焼き」650円。マヨネーズとおろし生姜、醤油がついてきます
「イカ丸焼き」650円。マヨネーズとおろし生姜、醤油がついてきます

 この「イカ丸焼き」もバーメニューとしては珍しいですよね。その名のとおり丸ごとイカが焼かれており、プリプリして噛むと柔らかく、箸が止まらない一品です。

左は「チーズの味噌漬け」400円、右が「もつ煮込み」450円
左は「チーズの味噌漬け」400円、右が「もつ煮込み」450円

 というわけで、『ブリック』の復活を寿ぎ、飲み&食べまくりでお会計は2人で5000円ほど。このリーズナブルさも嬉しいのですが、最大の魅力は、やっぱり居心地の良さ。お客さんみんな本当に楽しそうに話していて、こっちまで元気になります。

 ちなみに、新生ブリックでは昼営業も行っており、こだわりの自家焙煎コーヒーもいただけます。中野に行った際には、ぜひ『ブリック』に行ってみてください。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

NAKANO ブリック外観

店名:NAKANO ブリック

住:東京都中野区中野5-61-3
営:喫茶12:00~16:00
  酒場16:00~23:00(フード22:00LO・ドリンク22:30LO)