
栃木県宇都宮市といえば、言わずと知れた餃子の街。そのルーツは、戦時中、宇都宮市内に駐屯していた陸軍第14師団が中国東北部の満州に出兵したことと言われています。彼らが中国で食べた水餃子のレシピを地元に持ち帰たことで、次第に広まったというわけです。
「だから、当時は焼き餃子じゃなくて水餃子だったんだよ」と教えてくれたのは、筆者が宇都宮に出張で行ったときに乗ったタクシー運転手さん。ちなみにその運転手さんは、宇都宮生まれの宇都宮育ち。生粋の“宮っ子”です。そこで、目的地までの間、宇都宮の餃子話に花が咲きました。
筆者:宇都宮の人はやっぱり餃子をよく食べるんですか?
運ちゃん:そうだね。私は店でも家でもしょっちゅう食べるよ
筆者:家でも餃子を作るんですか?
運ちゃん:いやいや、買ってくることの方が多いね。店のほうが美味しいし安いし、楽だしね。
筆者:ちなみにどこの餃子がオススメですか?
運ちゃん:餃子は好みもあるから、人それぞれだろうけど、やっぱり昔っからある『香蘭』、『正嗣』あたりがオススメ。最近は新しい店も増えて行列ができてたりするけど、最初は老舗の餃子を食べてみるのがいいよ
筆者:ちなみに運転手さんが一番好きなのは?
運ちゃん:私は『正嗣』が一番好きだね。あそこの餃子の具が好きでね。店でも食べるけど、ほとんどは冷凍を買ってくる。説明書通りにやるとお店と同じ味になるよ

というわけでその夜、仕事も済んだので、運転手さんが勧めてくれた『正嗣』に行ってみようと思ったのです。しかし、残念なことにその日は“まん防期間中”で、なんと店内飲食はできず、テイクアウトのみ。冷めた餃子をホテルで食べるのも味気ない気がしたので、運転手さんの話に出てきたもう一つの店に行くことにしました。
それが宇都宮駅徒歩1分の場所にある『香蘭』。昭和34年創業で、 “宇都宮餃子の発祥店”と言われる老舗店。夜でも行列ができていたのですぐにわかりました。

夜7時過ぎ、一人で入店し、カウンター席に座りました。まずはビール、そして「焼餃子」(297円)と「水餃子」(297円)を注文。
その日は平日にも関わらず、続々とお客さんが入ってきます。スーツ姿のおじさんが多く、みなさん仕事帰りの様子。やっぱり、“宮っ子”は餃子が好きなんだなぁと思っていたとき……

筆者の隣に座ったスーツ姿の男性が注文するのを聞いていると、「ビール、焼餃子、水餃子、タンタンスープ餃子」。さらに筆者の向かいに座ったお兄さんは、「焼餃子2人前と水餃子、タンタンスープ餃子」。

さらに見回すと、かなり多くの人が焼餃子や水餃子と一緒に、丼に入った「タンタンスープ餃子」を注文しているのです。ひょっとしてこれは『香蘭』の三種の神器なのかもしれません。慌てて筆者も「タンタンスープ餃子」を追加注文してみることにしました。