東京進出を果たした福岡の行列うどん「大地のうどん」が“バリウマ”!

透明のうどんの秘密は?

こちらのうどんは、注文が入ってから麺を切って茹で上げる。福岡出身の麺職人の阿部さん

 さて、初の福岡のうどんにはいろいろ驚かされた。ごぼ天や丸天の巨大さもびっくりしたが、何より、透明なうどんとそのコシ。そこで、厨房で製麺機を使って麺作りをしていた阿部さんにうどんについてお話を聞いてみることにした。

「もともとの福岡のうどんというのは、柔らかくて、ふにゃふにゃの茹で置きしたうどんなんです。とくに博多は商人の町だったので、素早く出して食べてもらうということを重視しており、これが福岡のうどん文化だったんですが、10年前に、僕たちが福岡の新しいうどんを作ろうと試みたのが今の『大地のうどんスタイル』なんです」

 それは、麺ダネを熟成させてコシがある麺を作ること。そして、茹でおきはせず、注文が入ってから初めて麺を切り、茹でて、氷で締めて出すというスタイルだ。

「じつは、この熟成工程が非常に難しく、湿度温度の徹底管理がとても重要なんです。うちの場合、麺ダネは、常温、低温、高温の順で、寝かせることで熟成を完成させます。この時、季節や天気によってその時間や管理が変わるので、ちょっとでも読み間違えると、麺に伸びがなく、ぶつぶつと切れてしまう。じつは失敗をして何度も店を開けられなかったことがあるんですよ」

東京進出を果たした福岡の行列うどん「大地のうどん」が“バリウマ”!
熟成庫で麺ダネをしっかり寝かせて熟成させる

 阿部さんは福岡本店で5年もの修行を積んで、その“麺技”を習得して麺職人になったという。よく見れば粉まみれでカッコイイ。

「ここのオープンは昨年の3月24日だったんですが、福岡と気候も違うし、水も違う。さらに真新しい麺機で、最初は透明のうどんができなくて焦りました。そこで、とにかく福岡から麺を取り寄せて、麺機にこびりつけて、麺の菌をつけたりして」

 そうか。“麺菌”の仕事も重要なのだ。小麦粉と水と塩だけで作るうどんだが、その奥深さを思い知る。そこで、阿部さんにお願いして、透明なうどん作りを見せてもらった。

茹で上がったらすぐに氷でしめる。この瞬間、うどんが透明に変わる!
天ぷらを揚げるスタッフも福岡から来た揚げ職人。ごぼ天は、できあがり直径25cmを目指して“ごぼう細工”のように組みながら揚げていく。

 お客さんの注文に合わせて、麺を切り、茹で、そしてそのタイミングに合わせてごぼ天や丸天を揚げる。この絶妙の職人タッグによって出されるうどん。改めて感動してしまった。福岡で新しく進化を遂げたうどん、福岡の職人さんたちの芸術作をぜひ、高田馬場で味わって欲しい。

(取材・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

大地のうどん 東京馬場店

店名:大地のうどん 東京馬場店

住:東京都新宿区高田馬場3-22-4アビテヒデミ1F
TEL:03-3369-7190
営:11:00~15:30,18:00~22:30
休:水
http://daichinoudon.com/tokyobaba.html