いざ実食! はたしてその味わいは?

入店すると、ほぼ満席。券売機を見ると、左上から「醤油らーめん」(730円)、「特製醤油らーめん」(960円)、「塩らーめん」(730円)、「特製塩らーめん」(960円)、トッピング…と続きます。どれにしようか迷いましたが、「券売機の左上の法則」(左上から自信作が並ぶことが多いため)に従って醤油を選択。さらにお腹の具合と相談して「特製醤油らーめん」に決定しました。
さて、カウンターに座ると、最初に目に入るのは調味料。店によっては、自家製のオイルやラー油などが置いてあったりして、店主のこだわりがよくわかるものです。しかし「くろ助」のカウンターには、ちょっと意外なものが置かれていました。それは「タバスコ」。壁には貼り紙もあって、「中盤あたりでタバスコを数滴入れてみると、スープがしまります」と書いてあります。

ピザやパスタにタバスコが合うのは常識ですが、ラーメンにタバスコというのはあまり見かけませんよね。一体どんな味変ができるんでしょうか。そうこうするうちに注文した「特製醤油らーめん」が登場しました。

丼に載っているのは、豚バラロースと低温調理の豚肩ロースの2種類のチャーシュー、メンマ、海苔、味玉、ワンタン、薬味の三つ葉とネギ。華やかで、ザ・ニッポンの醤油ラーメンといった堂々としたビジュアル。透き通った琥珀色のスープが具材や麺を包んでいます。見た目の美しさもさることながら、香りがいい。煮干しの柔らかな香りで、それだけで心が満たされそうです。
さっそくスープを一口。非常にすっきりとしたスープです。しかも旨味が濃い。魚介のエキスもしっかりと感じます。鶏清湯をベースに、まろやかな醤油と上品な鶏(チー)油。何層にも旨味が重なっているのですが、じつにクリアな味わい。

麺は細くめの低加水系。ややパツパツした食感で、ここに上品なスープが染み込むように絡まります。すするほどに優しい旨味が胃の腑に染み込んでいきます。というわけで、そのまま食べ進んでいると、ご主人とお客さんの会話が聞こえてきました。
お客さん「タバスコがよく合いますね!」
小島さん「でしょう。タバスコって、そもそも唐辛子と酢、岩塩だけでできたシンプルな味だから、案外、食材の味を邪魔せず引き立ててくれるんですよね」
おっと、危ない。タバスコを入れずに完食するところでした。あわてて数滴、タバスコを投入してみました。すると、味がキリッと変化。穏やかなスープのクリアさはそのままで、よりいっそう、スープの美味しさが伝わってくるのです。確かにタバスコ、合います。お見事!